《サイバー・ブレイン》

サイバー・ブレイン UC 水文明 (4)
呪文
S・トリガー(この呪文をシールドゾーンから手札に加える時、コストを支払わずにすぐ唱えてもよい)
カードを3枚まで引く。

DM-01で登場した呪文

4マナでカードを3枚までドローできる。
普通に唱えても1ドロー当たり約1.33マナなのでコストパフォーマンスがよい。

初期のドロー軽視デザインの代表格とも言えるカードで、4マナハンドアドバンテージ+2及びS・トリガーが付属と、単純ではあるが折り紙付きのハイスペック。

S・トリガーも断じておまけではなく、覚醒編までの環境では中途半端な攻撃をして《サイバー・ブレイン》を踏んでしまうと、ノーコストで3ドローもさせてしまう。S・トリガーした側から見れば、ドローの手間がいらなくなることでテンポの面で加速する効果があり、1ショットキルされそうなときにも土壇場でニンジャ・ストライクなどを引き込むことが出来れば逆転もあり得る状況が多々あった。

コスト4なので《フェアリー・ライフ》のような2マナのマナブーストから綺麗に繋げられる。そのコストおよびS・トリガーの所持によって、ドローによるテンポロスを大きく削ることに成功してしまったドローソースである。

環境において

登場当初からの入るデッキにはほとんどの場合で採用された。中速からコントロールまで活躍の場は幅広かった。
強いて言えば殿堂入りが導入される以前の【リーフ青単】にはより早いターンにドロー効果を使える《アストラル・リーフ》《ストリーミング・シェイパー》が存在していたため不採用のケースが多かった。

その当時において余りのオーバースペックが徐々に問題視され、2004年3月に最初の殿堂入りカード5種類のうちの1枚となる。
その後もスペックの高さから多くのデッキに1枚挿しで使い続けられた。
の入ったコントロールはもちろん、【ヘブンズ・ゲート】のような手札補充が重要なデッキでは特に好んで使用された。

覚醒編あたりまでは革命編以後のようなインフレが進行していない比較的低速の環境であり、アドバンテージの総量が勝敗に直結することも多々見られた。

聖拳編から覚醒編までは1枚しかデッキに投入できなくなったものの、逆に言えばこのカードを4ターン目に唱えられるかどうかで、運ゲー色が強まったとの見方もあった。

《アクアン》《ソウル・アドバンテージ》などにも言えるが、膨大なハンドアドバンテージを得られる、または奪えるカードは対戦中に撃てるかどうかで勝負の命運が大きく左右される。
そのため、たった1枚を引けるかどうかの引き勝負を助長するよりも、いっそプレミアム殿堂にした方がいいのでは、という意見も根強かった。

戦国編では手札から使用できるニンジャ・ストライクを持つシノビが登場。S・トリガーを持つことが大きな意味を持つようになった。
一方で《海底鬼面城》が登場し、クリーチャーの展開が重視される【サイバー青単】のような【速攻】では採用されない傾向が見られた。

覚醒編では【白青黒超次元】トップメタとして君臨。ハンデスの連打でコントロールするデッキタイプなので、当然のようにこのカードも活躍した。そして2011年1月15日、覚醒編環境の中盤でついにプレミアム殿堂が決定した。プレミアム殿堂に至るまで、水文明入りのほとんどのデッキで必須カードとして扱われてきた。まさに登場から8年間もの環境の変遷の最先端を走り続けてきたカードと言っても過言ではなかった。

このカードの禁止化により、《トリプル・ブレイン》《フォーチュン・スロット》《プリズム・ブレイン》など、このカードの陰に隠れ続けてきた他の中型ドローソースにも光が当たることとなった。

プレミアム殿堂になってしばらくたった新章デュエル・マスターズ期にS・トリガーこそ消失したが、4コストで無条件3ドローできる《王立アカデミー・ホウエイル》が登場したが、採用率は伸び悩んだ。この頃になると《ドンドン吸い込むナウ》のような手札補充以外の役割も持つ汎用性の高いカードが優先されることが多くなっていたためである。
革命編以降4マナ程度貯まった段階でT・ブレイカーが殴りかかってくることが珍しくなくなり、4マナで手札補充するのが環境的に遅いという風潮が広がっていたのである。当然ではあるのだがドローだけ行うカードは数的なアドバンテージは得られるものの、展開を加速させる働き、すなわちテンポアドバンテージは得られない。環境高速化によってその点が重くのしかかるようになってきたのである。

上記のような環境の変化に伴い、登場から20周年かつプレミアム殿堂から10年後の2021年7月1日付で殿堂入りへの降格が決定。DMRP-18で3色ではあるが、コスト3で3枚引け、ドロー以外にも選択肢がある《T・T・T》が登場したのも一因か。

プレミアム殿堂解除後(再殿堂入り後)は、手札の枚数・内容が重要となるデッキで、コストパフォーマンスの高いカードとして採用するケースが見られた。

その後、やはり4マナ圏でドローのみを行うアクションの優位性が無くなっているために採用率があまり伸びず、2022年7月1日付で殿堂解除。同時に《アクアン》殿堂入りに降格した。専用デッキではこれよりマナコストが軽いにもかかわらず遥かに高い手札補充効率を誇る《巨大設計図》《超七極 Gio/巨大設計図》《進化設計図》が存在しているのも大きい。このようなプレミアム殿堂からの完全な殿堂解除は、度重なる環境の変化がもたらした結果を説明するにはうってつけなのかもしれない。アドバンスであればマナドライブを達成した場合1コスト査定となるGR召喚で出て来る《天啓 CX-20》も存在するので、ある意味では必然か。

殿堂解除直後、《龍脈術 水霊の計》と合わせてドローソースを8枚体制とした【ライベルモットループ】オリジナルチャンピオンシップで準優勝を果たした。しばらくはそれ以外のデッキではほぼ使われていなかったが、徐々に【黒ガイアッシュ覇道】【青黒赤緑邪王門】のような手札を抱え込む中速ワンショット【白青ライオネル.Star】のようなシールド追加ギミックのある防御型デッキに採用されるようになった。

ゴッド・オブ・アビス期に入ると環境が低速化したため、【ライベルモットループ】において《サイバー・ブレイン》を4ターン目に手打ちで唱えて始動用のパーツを探す展開となっても事故と呼ばれない速度となった。そのため、《龍脈術 水霊の計》の方が5枚目以降の立場になる逆転現象が起こった。

同環境では【青黒赤緑邪王門】のドローソースとして定着している。鬼エンド達成からの《百鬼の邪王門》連打がそのデッキの持ち味で、青単色マナ兼《鬼ヶ大王 ジャオウガ》を使える前に気軽に使える手札の枚数確保呪文として使われる。確実に手札の質を上げたい場合は同色・同コストの《ドンドン吸い込むナウ》《ドンドン吹雪くナウ》と選択となる。

アビス・レボリューション環境では暴発系統のデッキや《T・T・T》手打ちできない白青黒の防御系デッキ、一部の【ヘブンズ・ゲート】などに採用先が限られ、殿堂解除後の往時よりデッキを選ぶ存在となっている。住み分け自体は容易だが水単色のドローソースとしてより汎用性の高い《♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今》にスロットを奪われる機会が増えたのも見逃せないところ。《パンドラの記憶》《超次元の王家》の組み合わせが登場すると、よりコストの軽い無条件3ドローである《T・T・T》ですら立場が危うくなり始めた。
同シリーズ後半には水入りグッドスタッフの主流が【青黒緑CRYMAX ジャオウガ】となった。比較的クリーチャー主体となる【青黒緑CRYMAX ジャオウガ】では《サイバー・ブレイン》は一切採用されない。また、数少ない《サイバー・ブレイン》採用デッキであった【青黒赤緑邪王門】の使用率が大きく落ち込んだ。入賞の少なくなった【邪王門】も環境メタでレシピを工夫する必要性が生まれた結果、単にカードを引くだけの《サイバー・ブレイン》は真っ先に抜ける対象となっているのが現状である。

その他

  • ドロー枚数を最初に宣言する必要はない。1枚目を引いてから2枚目を引くかどうかを決め、2枚目を引いてから3枚目を引くかどうかを決める。
    • 不都合になることはほぼないが、ゲーム版では仕様の都合か「ドロー枚数を宣言してその枚数だけ引く」という処理で、カードを見て次を引くかどうか決めることは出来ない。
  • ドロー呪文の元祖であり、登場してからプレミアム殿堂になるまで、を絡めたデッキで広く使用されていた。
    また無理に水を絡めなくてもS・トリガーを持っているためこのカード以外の水のカードが1枚も入っていないというデッキもあったほど。
    • このようなパワーカードであった《サイバー・ブレイン》が王来MAX期にはデッキに最大4枚入れることができるようになったが、覚醒編以前のように是が非でも入れたいカードではなくなってしまったため、デュエル・マスターズのインフレの歴史を語るカードとなっている。

関連カード

フレーバーテキスト

収録セット

参考


[1] 2004年7月発売。DM-10DM-11の間の時期。