除去(じょきょ)ボルバル】

《無双竜機ボルバルザーク》殿堂入りを受けて、これまでビートダウンを中心に組まれてきたボルバルデッキを、【除去コントロール】として進化させて構築したデッキタイプ

【ボルバルブルー】の発展版である4色ボルバルデッキの【ボルバルブラック】をさらにコントロール寄りに組んだデッキであり、長期戦に特化させることによってボルバル一枚制限のデメリットを極限まで軽減している。

2005年夏に開催された公式大会GLのメタゲームの中心となり、実際にオープンクラスで日本一を勝ち取る。
ボルバルザークは殿堂入りしてもなお強力なカードである事を世に知らしめることになった。
2004年EL優勝の【ボルバルブルー】に続き、ボルバルデッキが2年続けて公式大会を制覇し、その後ボルバルザーク禁止化までのDMボルバル・マスターズ化を決定付けた。

無双竜機ボルバルザーク VR 火/自然文明 (7)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/アース・ドラゴン 6000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、他のパワー6000のクリーチャーをすべて破壊する。その後、このターンの後にもう一度自分のターンを行う。そのターンの終わりに、自分はゲームに負ける。
スピードアタッカー
W・ブレイカー
※プレミアム殿堂
ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン SR 火文明 (7)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン 7000
W・ブレイカー
このクリーチャーがシールドをブレイクしたとき、相手はそのシールドを持ち主の墓地に置く。(その「S・トリガー」は使えない)
無双恐皇ガラムタ SR 闇/自然文明 (6)
クリーチャー:ダークロード/アース・ドラゴン 5000
シンパシー:デスパペットおよびビーストフォーク(このクリーチャーを召喚する時支払うコストは、バトルゾーンにある自分のデスパペットまたはビーストフォーク1体につき1少なくなる。ただしコストは2より少なくならない)
このクリーチャーが攻撃する時、このターンの終わりまで、誰も「S・トリガー」を使うことはできない。

前述の通り、【ボルバルブラック】の除去コントロール色を強めた殿堂ルール対応版と言える。
ボルバルザークをあくまでフィニッシャーの一体とみなし、制限で空いたスペースを利用しながら全体的に長期戦を狙った構成をとっていた。

序盤の動き

《幻緑の双月》《シビレアシダケ》《青銅の鎧》などのマナブーストウィニーを使いつつ、《サイバー・ブレイン》《エナジー・ライト》などで手札に余裕を持たせながらスタート。
《スケルトン・バイス》などの定番ハンデスを中心にした妨害も重要。
場に残るウィニーは、あくまで終盤の一斉攻撃用か殴り返し除去用、もしくは《炎槍と水剣の裁》の巻き添えのタネであり、基本は終盤まで相手のシールドはブレイクしていかない。
【ボルバルブルー】で重宝された《ラブ・エルフィン》は、破壊された場合マナが残らず火力に弱いためあまり採用されない。

中盤から終盤にかけて

《腐敗勇騎ガレック》《鳴動するギガ・ホーン》《賢察するエンシェント・ホーン》などで休むことなく展開を行い、それに伴う手札枯渇を中盤の《炎槍と水剣の裁》(のちに一時プレミアム殿堂入りとなる)で取り返す。《ロスト・ソウル》を警戒&使用しつつゲームのイニシアチブを握る。
《母なる大地》を利用して《無双恐皇ガラムタ》《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》を立たせ、ボルバルザークや《紅神龍ジャガルザー》でフィニッシュ。

【速攻】/ビートダウンには《地獄スクラッパー》《デーモン・ハンド》《アクア・サーファー》などのS・トリガーで対抗。勿論《母なる大地》もあるため、トリガーは10枚以上積まれることがザラであり、展開の早さと相まってブロッカーが非常に少ないながら、かなり打たれ強い。
フィニッシャーのドラゴンを除去されたら《ディメンジョン・チョーカー》で対抗し、【クリーチャーコントロール】にブロッカーを並べられたら《クリムゾン・ワイバーン》をマナゾーンから《母なる大地》で飛ばすこともできる。
《ストーム・クロウラー》《魔天降臨》などのマナゾーン操作により、トリッキーで自由度の高い動きも可能。

当時の強力シナジーの詰め合わせであり、攻守に置いて相当ハイレベルなデッキである。
基本はマナブースト&ドロー&ハンデス&除去から《母なる大地》と《炎槍と水剣の裁》を介してドラゴンに繋ぐというコンセプトなため、ボルバルザーク召喚にそこまで固執する必要性はない。
ある程度コントロールしきったら《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》、《無双恐皇ガラムタ》などで速やかに攻撃することも重要。

  • 2005年全国大会オープンクラスを優勝した構築には《幻緑の双月》4枚と《シビレアシダケ》2枚が2コスト初動マナブーストとして採用されていた。代わりに《青銅の鎧》は2枚に抑えてあった。良くも悪くも初動のスピード重視の構築であったと言える。

主なデッキパーツとなっていたカード

《シビレアシダケ》基本は5枚目以降の《幻緑の双月》
《幻緑の双月》種族シナジーを考慮してこちらが主流
《青銅の鎧》マナブーストウィニー
《無頼勇騎ゴンタ》マナ確保兼ウィニー。それほど積まれなかった
《ストーム・クロウラー》マナ回収ブロッカー
《腐敗勇騎ガレック》ブロッカー除去&ハンデス
《鳴動するギガ・ホーン》サーチクリーチャー
《アクア・サーファー》バウンス。《コーライル》なども
《無双竜機ボルバルザーク》フィニッシャー
《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》フィニッシャーシールド焼却
《紅神龍ジャガルザー》フィニッシャーターボラッシュドラゴン
《無双恐皇ガラムタ》フィニッシャーS・トリガー封殺。シンパシー
《クリムゾン・ワイバーン》クリーチャーコントロール対策
《緑神龍アーク・デラセルナ》マッドネスドラゴン
《ディメンジョン・チョーカー》墓地回収
《スケルトン・バイス》ハンデス
《母なる大地》デッキの動きの要
《炎槍と水剣の裁》除去&ドロー
《地獄スクラッパー》S・トリガー火力
《デーモン・ハンド》S・トリガー確定除去
《エナジー・ライト》ドローソース
《サイバー・ブレイン》ドローソース

その他にも様々な種類のカードが使われ、使用者や意識するメタによってチューンは変化していた。

フィニッシャー以外のクリーチャーは非力なので、ハンデスを喰らって手札が枯渇し呪文が使えないと、バトルゾーンをコントロールするのは難しくなる。よって《ロスト・ソウル》は重要なデッキパーツであり、弱点でもある。

同系対策として《英知と追撃の宝剣》《クライシス・ボーラー》《焦土と開拓の天変》などのランデスを取り入れた型も多々見られた。ゲームが長引いた時のために《緑神龍ザールベルグ》《母なる大地》で呼び出す前提で1枚から2枚挿した型まであった。

【除去ドラゴン】を基盤に組まれたものも存在していた。というより、【除去ドラゴン】《母なる大地》2枚と《無双竜機ボルバルザーク》1枚、申し訳程度の緑マナ4、5枚が自然としてタッチされただけの型までが【除去ボルバル】と呼ばれ、当時如何に《無双竜機ボルバルザーク》が圧倒的な存在であったかが窺える。

中にはこの基盤に《光器ペトローバ》《巡霊者キャバルト》《無頼聖者サンフィスト》といった【除去ボルバル】に強いパワーカードを積んだ【5色ボルバル】なる型まで登場し、2005年公式大会エリア代表戦入賞デッキにもこの型が確認された。ある意味では【5色コントロール】の始祖とも言えなくもないが、【除去ボルバル】が如何に強力なデッキであるかを示したとも言えよう。

【除去ボルバル】は後期【ボルバル】の一つの完成形となり、ここからその対抗として【カウンターボルバル】《バジュラズ・ソウル》を使ってさらに特化させた【除去バジュラズ】【バジュラズブルー】などが生まれた。
「ボルバルデッキに勝つための新たなボルバルデッキを生み出す」という当時のメタゲームをよくあらわしていると言えよう。

2年間暴れ続けた《無双竜機ボルバルザーク》は2006年春に初のプレミアム殿堂カードに指定され、環境から姿を消した。
しかしデッキのノウハウは次のメタゲームを握る【サファイア】系デッキに継承される。

参考