環境(かんきょう)

ある時点(主に現在)での、よく使われているカードデッキや、それによって形成されるおおまかな試合傾向などのこと。
メタゲーム」とも呼ぶ。

新たに販売されたカードが実際に大会などで使われるようになると、『実戦で強いプレイングができる/できないカード』『大会上位なるようなデッキに入っている/入る/入らないカード』などが浮き彫りになってくる。
それによって、大会上位ではそれらのカードを使うためのコンセプトデッキの構築や、それらにあたった時の対策(メタ)となるカードおよびデッキ、さらにはそれぞれのプレイングまでもがある程度固定されてくる。
これらの状況をひっくるめたのが「環境」という言葉である。

例として『強いカード』に《蒼き団長 ドギラゴン剣》を挙げると、

など。このように、強いカードが1枚でもカードプールに参入するだけで、デッキビルディングからプレイングまで多方面に影響を及ぼす。

ゲームの目的が勝利である以上、プレイヤーはより勝利に直結するカードや情報を求める。
そのため、環境とはプレイヤーが形作るものであるのと同時に、プレイヤーが目指すべきものでもある。カードプールや環境をよく把握し、強いデッキを作り上げることは、より確実に勝利を手にすることに繋がる。

  • その時点で最もよく使われているカードやデッキタイプを指し「環境を支配している」などと言われる。もっと略して「このカード/デッキタイプは環境」と言うだけで伝わることもある。
  • カードプールが変化すると、1枚でも影響を与えうるようなカードが何枚も登場するため、環境も大きく変化する。
    また、上にもある通りカードの強さや強いプレイングは実際に使われて初めて分かる部分もあるため、カードプールの変化によってすぐ環境が固定されてくるとは限らない。上位カードを使うデッキの派生デッキの一部や、【ジョバンニスコール】などのように、プレイヤー間の研究によって次第に頭角を表すデッキタイプも存在する。この影響で、環境はゆるやかに変化していく部分もある。
  • カードがよく使われるようになることを「環境入り」、あまり使われなくなることを「環境落ち」と言う。環境は常に変化しているため、これらはかなりの頻度で発生する。
  • 環境を意識しながら、枚数の制限のあるデッキに入れるカードを選別するということは、試合中の駆け引きにとどまらず、その試合が始まるよりも前の段階から駆け引きが発生しているとも言える。『メタゲーム/meta[1] -game』という語はこの様子を指した語となっている。

「メタ」との関係性について

『環境』は別名『メタゲーム』とも呼ばれる。

ここから派生して、環境での使用率が最上位クラスのカード(特にフィニッシャー)またはデッキを『トップメタ』と呼ぶ。
『メタカード』『メタデッキ』という語もあるが、これは1つは上述の『トップメタ』と同義である他、そのトップメタに対策ができる『対策カード・デッキ』の意味で使われることもある[2]。また、こうして対策をすることを『メタる』とも呼ぶ。

そして、この『メタゲーム』『トップメタ』『メタカードorメタデッキ』『メタる』のいずれも『メタ』と略されることがある
聞いている・読んでいる側からすれば、『メタ』という言葉だけでは環境に関連のある話であるところまでは判るだろうが、上の通り多義的で紛らわしいため、なるべく適切な言い換えを行いたい。

「環境ではないカード」について

環境を基準に考えると、あらゆるカードはおおむね以下のように分ける事ができる。

  1. 強いフィニッシャー
  2. 強いフィニッシャーを支える、相性の良いカード
  3. それらを支えられるような土台となる、汎用性の高いカード必須カード
  4. それらよく使われるカードへの対策ができるカードメタカード
  5. (1.~4.に対し)スペックやポテンシャルは十二分だが環境的に活躍しづらいカード
  6. 1.~5.の下位互換とまではいかないものの、差別化点が弱かったりスペックが低かったりして扱いづらいカード
  7. 1.~6.のカードに勝る点がなく、差別化ができないカード(下位互換

いわゆる『環境カード』、すなわちよく使われるカードは1.~4.が該当する。

しかし、新たなエキスパンションが発売された時、収録されるカードはそのようなカードばかりではなく、登場時点で5.~7.に該当するカードが必ず存在する。これらは『環境ではないカード』と言える。

また既存のカードも、たとえそれがかつて環境にあったカード(1.~4.)であっても、新たなカードの登場などによって5.~7.に該当するようになってしまう(環境落ちする)のは非常によくある事である。これはインフレという言葉でも表される。


勝利を求め、環境を強く意識するプレイヤーは、環境ではないカードを意図的に忘れることがある。
そのほうが、強いカードのみに集中してコンセプトを組んだり、対策を練ったりしやすいからである。
その時点で使えないカードをわざわざ考慮に入れなくとも、勝ちに直結するためのカードだけに焦点を絞ることで、思考を効率化することが可能。

……と書くのは簡単だが、実情はもっと複雑である。
上に挙げたうち5.と6.は、これまたカードプールの拡充やプレイヤーの研究などによって、相性の良いカードや、弱点を補完できるカードなどが発見され、突然環境入りすることがある。
ある時点での環境上位ばかりを見据えていると、ファンデッキ地雷から思わぬしっぺ返しを食らうというケースは往々にして起こりうる。

また、環境を意識するプレイヤーは、環境カードとそうでないカードをはっきりさせようとして、特に5.~7.のようなカードを過小評価・酷評してしまいがちである。
そのようなプレイヤーに対し、「環境は常に変化しているので『弱い』とは言い切れない」「いずれ環境の変化によってしっぺ返しを喰らう」と言い返すこともできるが、そもそもの話として環境がデュエル・マスターズの「全て」ではない

TCG(トレーディングカードゲーム)である以上、カードイラストフレーバーテキスト、大小のレアカードのコレクションなどの要素は存在する。あるいはより確実な勝利に直結しなくとも、自分が好きな種族・コンセプトが活躍するようなファンデッキ、もしくは面白い動きをするコンボデッキなどで遊ぶ、といったように、環境や強さを意識する以外にも、デュエル・マスターズの楽しみ方はいくらでも存在する。
大会はデュエル・マスターズの楽しみ方の中では非常に大きな部分ではあるものの、「使いにくいから」、逆に「強すぎるから」等、環境目線だけでカードを過度にマイナス評価するのは、それ以外を楽しんでいるプレイヤーとのコミュニケーションにおいて問題を起こしかねない。くれぐれも言葉選びには気をつけたいところ。

参考


[1] 「超越した」、「高次の」といった意味
[2] 先の意味では『トップメタ』という語があるため、強いてこちらの語を使う場合は対策の話である場合が多い