#author("2023-07-24T10:26:23+09:00","","")
#author("2023-08-28T13:56:52+09:00","","")
*デフレ [#m725d42d]

経済用語「デフレーション(Deflation)」の略であり、本来の意味は「物価が持続的に下落すること」である。
そこから転じて、[[エキスパンション]]が進んだにもかからず、新しく出る[[カード]]の[[スペック]]が低くなっていくこと、もしくはそうしたカードが増えていく[[環境]]のことをいう。
つまりは[[コスト]]に対して[[能力]]が貧弱になり、[[クリーチャー]]の場合は[[パワー]]も小さくなっていくことを指す。
[[カードパワー]]はエキスパンションが進むにつれてデフレではなくその逆の[[インフレ]]に至ることが基本であり、デフレは[[デュエマ]]の歴史的には例外的な現象であると言える。

何を以ってデフレとするかについては様々な尺度が存在するが、一般的には[[エキスパンション]]、シリーズ単位でデフレしているか否かが語られる。エキスパンション全体、シリーズ全体のカードパワーがそれ以前よりも下がっていればデフレであると言える。

逆に、カード1枚単位でデフレしているかどうかというものは語られづらく、例えば低レアリティに存在する明らかな[[下位互換]]は単にそのカード自体のデザインとして受け止められるか、あるいは「穴埋め枠」とエキスパンションのランダム性故に仕方が無いことと割り切られる場合が多い。

あまり複雑な能力を持っているクリーチャー同士ではデフレしているかどうかを比較しづらい。バニラ、準バニラの場合は能力が無いか単純なものしか持たないため、[[上位互換]]、[[下位互換]]という関係に分けやすい。

カードパワーのデフレはただ行っても環境調整のための効果が薄く、デフレの効果を上げるために[[コスト踏み倒しメタ]]などの[[メタ]][[カード]]の登場、[[殿堂レギュレーション]]改訂によるカードプールの整備が付随するのである。その典型例が[[新章デュエル・マスターズ]]における[[《異端流し オニカマス》]]の登場であり、このカードは革命ファイナルの大幅インフレからのデフレを敢行するための環境の調整役という見方がある。

[[調整版]]が出ることはデフレとは呼ばない。これは、[[殿堂入り]]、[[プレミアム殿堂]]に指定されたカードのカードパワーを調整して再び無制限に使用できるようにすることが調整版の開発における理念の1つであるためである。ただし、[[《エリアス》]]のように余りにも弱体化し過ぎた調整版はデフレと呼ぶこともある。

呪文はクリーチャーよりもデフレしているときはそれが目立ちやすい。[[呪文]]は[[パワー]]を持たないので、なおさら[[能力]]の強弱を引き合いに出してデフレを語られる。

他の[[カードタイプ]]では、デフレはほとんど見られない。これは[[クリーチャー]]や[[呪文]]と違って短期間しかプッシュされず、特殊エキスパンションなどで再登場する際にデフレしたとなるとユーザーの購買意欲を削ぎ、メーカーが困るためである。

**環境におけるデフレ [#xa7c1eb2]
-最初に大きくデフレしたと言われるのは[[転生編]]。
だが、[[多色]]より必然的に[[スペック]]が劣る[[単色]]カードを再びプッシュするようになっただけであり、単色カードのデフレは一部を除きそれほど大きくはない。[[極神編環境]]までの[[単色速攻]]環境を築き上げた[[単色]]強化サイクルや、[[《バジュラズ・ソウル》]]、[[《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》]]などの各種[[転生]]カードも輩出しており、年間では109億円という好成績を残している。ただ、[[DM-17]]は発売当時としては[[《ダンディ・ナスオ》]]程度しか環境で活躍できなかったため、[[終末ナスオ大戦>DM-17#nasuo]]と揶揄されるデフレエキスパンションとしてデュエマ史に名前が残った。
だが、[[多色]]より必然的に[[スペック]]が劣る[[単色]]カードを再びプッシュするようになっただけであり、単色カードのデフレは一部を除きそれほど大きくはない。[[極神編環境]]までの[[単色速攻]]環境を築き上げた[[単色]]強化サイクルや[[敵対色]][[呪文メタ]]サイクル、[[《バジュラズ・ソウル》]]、[[《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》]]などの各種[[転生]]カードも輩出しており、年間では[[聖拳編]]を上回る109億円という好成績を残している。ただ、[[DM-17]]は発売当時としては[[《ダンディ・ナスオ》]]程度しか環境で活躍できなかったため、[[終末ナスオ大戦>DM-17#nasuo]]と揶揄されるデフレエキスパンションとしてデュエマ史に名前が残った。

-2度目のデフレシリーズとして[[不死鳥編]]が例に挙がる。新種族のクリーチャーの中で当時の環境上において目立って活躍できたのは[[《封魔ゴーゴンシャック》]]や[[《光神龍スペル・デル・フィン》]]等、片手で数えられるほどしかおらず、肝心のハイブリッド種族及びフェニックスはグランド・デビルしか目立った戦績を残せなかった。特に[[DM-23]]は史上最大のデフレエキスパンションとまで言われていた。「インフレの逆を行くとどうなるか」という極致のシリーズであり、このようなことからこのシリーズ中はデュエマの展開終了まで囁かれていた。

-3度目のデフレシリーズは[[エピソード3]]。[[エグザイル・クリーチャー]]は全体的にスペックが抑え目で、[[ドロン・ゴー]]、[[シールド・ゴー]]などの新ギミックも使い勝手が当時としてはあまり良くなかった。ただ、[[《暴走龍 5000GT》]]や[[《神聖麒 シューゲイザー》]]など抜きんでた強さを持ったカードが存在しており、[[【墓地ソース】]]、[[【シューゲイザーワンショット】]]などの新規デッキの活躍があった。加えてカツドンなどのマスコット系のキャラが低年齢層に受けたことによって人気は保っており、2013年度のTCG内全体で見れば商業的評価はまずまずであった。

-4度目のデフレシリーズは[[新章デュエル・マスターズ]]。[[《水上第九院 シャコガイル》]]、[[《天風のゲイル・ヴェスパー》]]、[[《“罰怒”ブランド》]]などの新規勢の活躍、[[ジョーカーズ]]の隆盛、[[コスト踏み倒しメタ]]の拡充を考えれば一見インフレしたようにも見える。ところが、実際は[[DMRP-01]]における短期間で型落ちした低質な新支配種族のファッティなど目に付くデフレが存在しており、[[DMRP-03]]などはレア以下が壊滅的なラインナップとなっている。このようなデフレは、[[革命ファイナル]]で大幅インフレしたが故の致し方がない部分がある。そもそも新規の上質なコスト踏み倒しメタにしても革命編以降の環境を支配していた侵略、革命チェンジへの対抗手段に過ぎず、デフレのためのカードプール整備の一環でしかなかった。そのコスト踏み倒しメタですらコスト踏み倒し系統のデッキに悪用された。

-[[十王篇]]では、再度[[多色]][[カード]]がプッシュされると同時に、単色カードのカードパワーの底上げもされた。GRのメタカードである[[《U・S・A・BRELLA》]]、[[《リツイーギョ #桜 #満開》]]も登場した。しかし、[[前年>超天篇]]と比べると極端に環境を揺るがすようなカードは登場せず、実態としては史上5度目のデフレシリーズとなっている。

-[[王来MAX]]は、[[単色]]メインでありかつ[[タマシード]]という新しい[[カードタイプ]]により調整が慎重に行われたからかカードパワーは前シリーズと比べて控え目になった。また、[[DMRP-22]]のメタクリーチャー群、[[《インフェル星樹》]]、豪華な再録カードなど目を引くラインナップではあったが、新規だけ見れば史上6度目のデフレシリーズと言える。
**その他 [#g2dab437]
-通常トレーディングカードゲームは[[インフレ]]し過ぎたシリーズが存在するとデフレシリーズが訪れる。[[カード]]の性能のインフレがいつまでも終わらないと、新しいパックを購入することに嫌気が差すプレイヤーが出て来るためである。要するに、既存のカードからの買い替えばかりを要求されるとプレイヤーが「メーカーに食い物にされている」と不信感を抱くのである。ゆえに時折デフレが起こるのは仕方のないことである。

-しかし過度のデフレの進行は、カードパワーの低いカード同士での小競り合いを強要させる、環境を変化に乏しい退屈な物にするなど多くのプレイヤーの意欲を奪うことになる。こうなると、販売店にも[[プレイヤー]]にとっても不利益を招くので、開発側もカードデザインには細心の注意が要求される。

-[[殿堂レギュレーション]]改訂によるデフレによって、インフレが進んだ環境では中々活躍しないカード・デッキが活躍することがある。例えば[[【レッドゾーン】]]はデフレのベンチマーク的存在であり、インフレが進んだ環境がカードプールや殿堂レギュレーションの整備によって変化した時にしばしば活躍に至る。

-一方で、登場当時は強いと言われたカードがデフレの影響で失墜するケースもある。登場当時はメタ対象が多かったカードが新登場したギミックによってメタ対象を駆逐されたり、メタカードに強い点が機能しづらくなったり、というのが分かりやすい例。

-デフレ期のエキスパンションは猛威を振るっている環境デッキへの露骨なメタカードが収録されることが多い(転生編の[[《ディオーネ》]]や[[《巡霊者メスタポ》]]、不死鳥編の[[《百発人形マグナム》]]や[[《埋め立てロボ・コンクリオン》]]、新章デュエル・マスターズの[[《異端流し オニカマス》]]など)が、簡単に対策され充分に活躍できなかったり、ミラーマッチ対策で環境デッキに組み込まれて裏目に出ることもある。

**参考 [#g2dab437]
-[[用語集]]
-[[DM-23]]
-[[殿堂レギュレーション]]
-[[コスト踏み倒しメタ]]
-[[コスト論]]
-[[転生編]]
-[[不死鳥編]]
-[[エピソード3]]
-[[新章デュエル・マスターズ]]
-[[十王篇]]
-[[インフレ]]

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