デフレ
経済用語「デフレーション(Deflation)」の略であり、本来の意味は「物価が持続的に下落すること」である。
そこから転じて、エキスパンションが進んだにもかからず、新しく出るカードのスペックが低くなっていくこと、もしくはそうしたカードが増えていく環境のことをいう。
つまりはコストに対して能力が貧弱になり、クリーチャーの場合はパワーも小さくなっていくことを指す。
カードパワーはエキスパンションが進むにつれてデフレではなくその逆のインフレに至ることが基本であり、デフレはデュエマの歴史的には例外的な現象であると言える。
何を以ってデフレとするかについては様々な尺度が存在するが、一般的にはエキスパンション、シリーズ単位でデフレしているか否かが語られる。エキスパンション全体、シリーズ全体のカードパワーがそれ以前よりも下がっていればデフレであると言える。
逆に、カード1枚単位でデフレしているかどうかというものは語られづらく、例えば低レアリティに存在する明らかな下位互換は単にそのカード自体のデザインとして受け止められるか、あるいは「穴埋め枠」とエキスパンションのランダム性故に仕方が無いことと割り切られる場合が多い。
あまり複雑な能力を持っているクリーチャー同士ではデフレしているかどうかを比較しづらい。バニラ、準バニラの場合は能力が無いか単純なものしか持たないため、上位互換、下位互換という関係に分けやすい。
カードパワーのデフレはただ行っても環境調整のための効果が薄く、デフレの効果を上げるためにコスト踏み倒しメタなどのメタカードの登場、殿堂レギュレーション改訂によるカードプールの整備が付随するのである。その典型例が新章デュエル・マスターズにおける《異端流し オニカマス》の登場であり、このカードは革命ファイナルの大幅インフレからのデフレを敢行するための環境の調整役という見方がある。
調整版が出ることはデフレとは呼ばない。これは、殿堂入り、プレミアム殿堂に指定されたカードのカードパワーを調整して再び無制限に使用できるようにすることが調整版の開発における理念の1つであるためである。ただし、《エリアス》のように余りにも弱体化し過ぎた調整版はデフレと呼ぶこともある。
呪文はクリーチャーよりもデフレしているときはそれが目立ちやすい。呪文はパワーを持たないので、なおさら能力の強弱を引き合いに出してデフレを語られる。
他のカードタイプでは、デフレはほとんど見られない。これはクリーチャーや呪文と違って短期間しかプッシュされず、特殊エキスパンションなどで再登場する際にデフレしたとなるとユーザーの購買意欲を削ぎ、メーカーが困るためである。
環境におけるデフレ
- 2度目のデフレシリーズとして不死鳥編が例に挙がる。新種族のクリーチャーの中で当時の環境上において目立って活躍できたのは《封魔ゴーゴンシャック》や《光神龍スペル・デル・フィン》等、片手で数えられるほどしかおらず、肝心のハイブリッド種族及びフェニックスはグランド・デビルしか目立った戦績を残せなかった。特にDM-23は史上最大のデフレエキスパンションとまで言われていた。「インフレの逆を行くとどうなるか」という極致のシリーズであり、このようなことからこのシリーズ中はデュエマの展開終了まで囁かれていた。
その他
- 通常トレーディングカードゲームはインフレし過ぎたシリーズが存在するとデフレシリーズが訪れる。カードの性能のインフレがいつまでも終わらないと、新しいパックを購入することに嫌気が差すプレイヤーが出て来るためである。要するに、既存のカードからの買い替えばかりを要求されるとプレイヤーが「メーカーに食い物にされている」と不信感を抱くのである。ゆえに時折デフレが起こるのは仕方のないことである。
- しかし過度のデフレの進行は、カードパワーの低いカード同士での小競り合いを強要させる、環境を変化に乏しい退屈な物にするなど多くのプレイヤーの意欲を奪うことになる。こうなると、販売店にもプレイヤーにとっても不利益を招くので、開発側もカードデザインには細心の注意が要求される。
- 殿堂レギュレーション改訂によるデフレによって、インフレが進んだ環境では中々活躍しないカード・デッキが活躍することがある。例えば【レッドゾーン】はデフレのベンチマーク的存在であり、インフレが進んだ環境がカードプールや殿堂レギュレーションの整備によって変化した時にしばしば活躍に至る。
- 一方で、登場当時は強いと言われたカードがデフレの影響で失墜するケースもある。登場当時はメタ対象が多かったカードが新登場したギミックによってメタ対象を駆逐されたり、メタカードに強い点が機能しづらくなったり、というのが分かりやすい例。
参考