《ドンドン(えら)べナウ》

ドンドン選べナウ UC 水文明 (4)
呪文
自分の山札の上から5枚を表向きにする。相手はその5枚を2つの束に分ける。自分は一方の束を手札に加え、もう一方を墓地に置く。

DM22-EX1で登場した呪文

自分の山札の上から5枚を相手が2セットに分割させ、そのうち1セットを手札に、もう1セットを墓地に置く。

テキスト自体に複雑な部分はないが、相手にこの呪文を唱えられた時どう分割するかは頭を使う。
一方、唱えた側は非関与な5枚を使って提示された二択から得する方を選ぶだけなので負担は少ない。

唱えた側は相手にどんな振り分けをされても3枚以上手札補充する権利があるが、枚数の多い束を取ることが最善の選択になるとは限らない。

最大スペックは手札補充墓地肥やしを一気にこなす呪文だが、相手の振り分けが上手ければ上手いほど弱体化してしまう。

このカードの登場時点で、コスト4の手札補充呪文の極致とも呼べる《サイバー・ブレイン》殿堂解除されているため、そちらとの差別化はしっかりと考えたい。
また、相手にどのように振り分けられても、手札補充の観点では5枚見て1枚キャッチできる《ドンドン吸い込むナウ》よりも手札の質は高くなるが、このカードはバウンスS・トリガーといった防御性が損なわれている上、【青黒赤緑邪王門】のような山札を能動的に削るデッキでは残り山札が危うい部分も気がかり。

唱えられた時

この呪文を相手に唱えられた場合、振り分けのパターンは以下の通り。
「0枚と5枚」を選びつつ相手が5枚の束を手札に加えた場合を除き、必ず墓地肥やしも手伝ってしまうことを忘れないように。

0枚と5枚唱えた側に5ドロー(か5枚墓地肥やし)の恩恵があるので、通常は推奨されない。
1枚と4枚こうするなら、1枚の束に「飛び抜けて強いカード」を入れる。
これで相手に「欲しいカードだが1枚しか手札に加わらない」か「欲しくないカードだが4枚手札に加えられる」の二択にできる。
2枚と3枚稼がれるハンドアドバンテージを最小化できる。
どちらの束が手札・墓地に加わっても一長一短になるようにしたい。

下手すれば大きな利敵行為となる「1枚と4枚」パターンを選ぶ状況としては、次のようなものが考えられる。

《蒼き団長 ドギラゴン剣》などゲームを決めかねない殿堂入りカードが捲れた場合。
②自分のデッキに刺さってしまうメタカードが捲れ、かつ相手がそれをすぐにプレイ可能な場合。

  • どちらも、その場で欲しいカードを選ぶなら1枚サーチで終わってしまうことを狙ったプレイングである。
    • ただし、殿堂入りではないカードは表向きになる以前で既に手札に握っていて、少ないほうの束に振り分けるメリットが一切ないことは考えられる。また、相手が4枚補充を選択した結果、その大量手札補充が祟って後々苦しくなる裏目も考えられる。
  • どちらも、その場で欲しいカードが合計2枚以上捲れた場合は破綻する。その場合は2枚と3枚の束に振り分けよう。

墓地肥やし重視で採用されている場合。以下の「0枚と5枚」選択よりは日和った形となるが「手札に与えても痛くない1枚、手札にないと困る1枚とその他3枚」と振り分ければ、墓地肥やしがはかどらない。


手札補充墓地肥やしを同時にすることが目的と見抜いたなら、「0枚と5枚」パターンもありえなくはない。
例えば《龍頭星雲人/零誕祭》を含む5枚なら、2-3でも1-4でも《龍頭星雲人》の束を手札に取られつつそこそこの墓地肥やしも許してしまう。
ならばここで0-5としたら、「5枚の手札を獲得できるが増える墓地のカードは《ドンドン選べナウ》1枚のみ。《龍頭星雲人》は大して軽くならない」または「5枚(+1枚)という驚異的な墓地肥やしに成功するが、サーチ・手札補充は行えない」という二択を迫ることができる。

唱えた時

自分が唱えた場合、「5枚の内で一番欲しいカードを手に入れる」「質はともかく3枚以上のカードを手に入れる」のどちらかは確実に満たすことができる効果と言える。

上記の0-5や1-4は一手の差で勝敗が決まってしまう場面で必要な読みであり、デッキ構築段階でそれらを想定して採用するわけではない。

例外的に、2-3でも「欲しいカードを手に入れつつ枚数も多く入手できる」一挙両得になることもある。
束を作る人は、唱えたプレイヤーの手札を知らない状態で行う必要があり、重要度の低いカードを少ないほうの束に入れてしまい損をしてしまうプレイングミスは一定確率で起こりうる。

以下、相手が2枚と3枚に分割したケースで性能を語る。

2枚の束を手札に加える場合

特別な事情がなければその時一番欲しいカード1枚とその時一番要らないカード1枚が手に入るはずである。

比較対象は《ドンドン吸い込むナウ》《ドンドン吹雪くナウ》、文明が違うが《ライフプラン・Re:チャージャー》など。

  • 余計に1枚手札補充できるのがメリット。
  • 防御札にならないのはデメリット。

捲れた5枚の中に欲しいカードがあればこちらを選び、無ければ3枚の束を選ぶことになるだろう。

3枚の束を手札に加える場合

結果だけ見れば、比較対象は《フォーチュン・ドンキッキー》

  • 運頼みでなく確実に3枚手札補充できるので一見良さそうだが、相手に与える情報が違う。
    4ターン目にデッキの5枚を公開してしまう。
  • また、ドロー呪文の1コストの差はコスト論上大きな差がある。どちらも確実性に欠けるのにどちらも最大枚数が3枚というのはやや損している。

あるいは、作為的に弱い3枚にされる《サイバー・ブレイン》
あくまで2枚の束が魅力的でない場合に3枚の束にする消極的選択だが、墓地利用しないデッキならまずアドバンテージで勝てないだろう。

他のカード・デッキとの相性

狙いのカードをサーチすることだけを考えるなら《ドンドン吸い込むナウ》など汎用的なサーチ呪文に劣るため、墓地と手札のリソースを同時に伸ばす必要があるデッキで採用したい。手頃な墓地回収手段や、墓地からカードを使う手段を持っているとなお良い。
《Drache der'Zen》《龍素記号wD サイクルペディア》を使うデッキなら、墓地からでも手札からでも呪文にアクセスする旨味がある。
《絶望と反魂と滅殺の決断》など自力で墓地からプレイできるカードとは極めて相性が良い。捲った5枚の中に1枚でも入っていれば擬似3ドローは確定するので、その中で欲しいカードが入った束を加えればよい。
《龍風混成 ザーディクリカ》《灰燼と天門の儀式》のパッケージとも好相性。どれが手札に、どれが墓地に置かれても特段支障が無い。

  • 同弾の《龍素記号wD サイクルペディア》とも好相性。cipで4→5と2ターン連続でこの呪文を発動できる。このクリーチャーがある状態で手札から唱えれば増幅能力によりこちらも2回分使える。

その他

  • 「束にする。束ねる」という意味から想像すると、0枚や1枚では成り立たないように思えてしまうが、このカードにおいてはあくまで「2つの選択肢を用意する」の言い換え表現であり、「1枚と4枚」「0枚と5枚」に分けることもできる[1]
  • 手札に加える方は特に公開する指示はないが、墓地に置くカードは公開情報であるため消去法で何が手札に加わったか知られてしまう。おそらく「束はそれぞれ表向きにして、どちらかを選ぶ」形となるため、相手に何を加えたかを尋ねられたら、特に差し支えなければ再公開してあげればよいだろう。
  • 能力とイラストはMagic:The Gathering《嘘か真か/Fact or Fiction》が元になっている。
    MtGで有名なカードだったため過去に何度か開発案には上がっていたが、何かが煩雑[2]なため通常セットには収録できず、デュエキングパックで収録される運びとなった[3]
    • イラストは《嘘か真か》のうちジェイスが描かれた版と同じ構図になっており、白黄色紫黒色のクリスタルを手にし、のクリスタルを捨てている。
  • 「ドンドン○○ナウ」系では初の、「○○」が終止形ではなく命令形になるカード。
    また、同系統では初めてのS・トリガーを持たないカードである。
    • カード名の「選べナウ」は「(難しくて容易には)選べない」のダジャレなのかもしれない。

裁定不明

関連カード

フレーバーテキスト

  • DM22-EX1
    にひひ。どっちを選んでも得するようにする、それが相手に選択をせまるコツなのさ。 ― アクアン

収録セット

参考


公式Q&A

  • 能力について

Q.《ドンドン選べナウ》の効果で5枚のカードを2つの束に分ける際、片方の束を0枚にし、0枚と5枚に分けることはできますか?
A.はい、できます。
引用元(2022.10.28)

Q.自分の《飛ベル津バサ「曲通風」》がいる状況で、相手が《ドンドン選べナウ》を唱えた場合、どうなりますか?
A.相手は山札の上から1枚だけを表向きにします。自分は1枚と0枚の束を作り、相手は好きな方を手札に加え、残りを墓地に置きます。
引用元(2022.10.28)


[1] 射場本正巳氏のツイート
[2] どこが「煩雑」かは示されてはいない。効果処理は全く面倒ではないため、他の世界観から輸入する下準備が面倒だったのか、フォーマットごとのバランス調整面のことなのか、詳細は不明
[3] 射場本正巳氏のツイート