対話拒否
対人ゲームにおいて、自分のみで勝ち筋を完結させ、一方的な勝利を目的とする戦術や戦略への蔑称のこと。
対話拒否と言っても、対戦相手と実際に会話をする事を拒否する事ではない。この場合の「対話」とは、対戦相手との駆け引きの事である。
対戦としての楽しみである駆け引きなどがあまり行われず、相手のプレイングにあまり左右されることもなく、一方的なプレイングが長時間行われるか、逆に極端に短いままゲームが終わるようだとこう呼ばれるようになる。「対話拒否された」という感想が散見されるようであれば、対人ゲームとして不健全なバランスになっていることを意味している。
また、「対話拒否された対戦」という言葉はあれど「対話した(対話された)対戦」という言葉は存在しない。プレイングや運要素による駆け引きが存在する対戦が「対話した対戦」に当たると思われるが、それは対人ゲームとして自然な状態なので特別な用語を必要としないからである。
このようなプレイスタイルの理想像は、身もふたもない事を言えば「理想のプレイングを(一方的に)押し付けて勝ち切る」事である。
コンボ等が成立すれば最後、相手は自身のターンもろくに回ってこないままただそれを『見させられる』『負けるのを待つ』だけで、メディアミックスでよく見るような奇跡の大逆転はない一方的な試合展開となり、ゲーム的なコミュニケーションの要素は失われてしまう。
不確定な運要素を排して運ゲーに持ち込ませないようにするのが根底の目的でもある為、駆け引きも当然なくなってしまう。
デュエル・マスターズに限らず、TCGは対戦ゲームであり、様々なカードを使い、色々な駆け引きができることが楽しみであり、それが失われる対話拒否を快く思わないプレイヤーが多いのは当然である。
デュエマ公式サイトの「クリエイターズ・レター Vol.18」では、このような対話拒否状態が対戦ゲームとしての性質を重視するデュエマのゲーム方針と相性が良くないという内容の説明がされていた。
往々にしてソリティアの要素が多分に含まれるが、速攻よりも速いスピードで即死コンボを成立させる事で、極端にゲーム時間を短く終わらせる事を終着点とする、ソリティアではないタイプの対話拒否も存在する。
これはかけるターンが短ければ短い程、相手の行動や妨害といった「駆け引き」という名の「不確定要素」を減らす事ができるからである。
デュエル・マスターズでの「対話拒否」について
- コンボが成立したら最後、相手にターンを一切渡さずにソリティアでライブラリアウト・エクストラウィン
- 徹底的なロック・ランデスで全ての妨害手段を封じた上での1ショットキル
- 何らかの方法で、極めて少ないターン数で1ショットキルを決める。対戦相手は「1つマナを置いただけでゲームが終わる」など、相手にほとんど、あるいは全く行動も許さないままゲームを終えてしまう(ソリティアではないタイプの対話拒否)
という構築が対話拒否を終着点とするデッキになる。
なお、3.は極端に前のめりな速攻デッキ系にも当てはまるが、此方が対話拒否と呼ばれる事はない。
ブロッカーで守る、S・トリガーによる逆転による巻き返しなどの手段、即ち駆け引きの余地は残されており、そういった手段が豊富なデッキに対する勝率は悪化する事は自明だからである。
そういった相手の行動による駆け引きの要素を排し、片方のコンボが揃った時点で、大方ゲームが終わってしまう為にプレイヤー同士の駆け引きがほとんど行われていない、行わせないという部分がキモである。
3.に該当するデッキは非常に限られるが、最速1ターンで相手のシールドも手札も山札送りにしてしまう【ダーツデリート】、2〜3ターンで過剰打点が並び、場合によってはコスト踏み倒しメタも並ぶ【“轟轟轟”ブランド】や【赤青ミッツァイル】は、この一例と呼べるだろう。
勝利こそが第一で必然的に不確定要素や運要素の排除が求められる競技大会では上記のような対話拒否に近いデッキタイプが有効となる。
しかし下準備が必要な以上完全な対話拒否を行うことはほぼ不可能で、例えば「DMGP-9th」で優勝した【カリヤドネループ】なら、決勝では【赤単ブランド】に辛勝しており、「対話拒否」とは程遠い試合となっていた。
- 簡単に「対話拒否」が行えるデッキが環境を支配すると真っ先に規制の対象になるため、当然といえば当然である。
- 追加ターンの条件が比較的緩い《勝利宣言 鬼丸「覇」》もソリティアを生みだすカードと呼ばれることが多い。出せば大方勝負が決まってしまうため、否定的なニュアンスで言われることがほとんどである。
対策と課題
対話拒否型は逆転を嫌い、勝利の瞬間まで相手に極力干渉しない(まるで対戦相手など最初から存在していないかのように、一切干渉しないことも少なくない)為「カウンターによる一発逆転」を志向したようなカードは多くのケースで腐ってしまう。
こういったデッキタイプや戦略に対する対策は「相手が動く前に勝ってしまう」事である。
特に防御札を積んでいないようなデッキタイプである場合、速攻で勝ち切るのは容易である。
ソリティア系のデッキタイプはデッキの大半をコンボパーツに割いている事が多く、防御札が積みづらい為、速攻に対しては分が悪くなりがち。
超天篇環境のGR・マスターズの時代においても、ループ以外に台頭したのはこういったデッキタイプであった。
しかし、それ即ち「自分も駆け引きをしないデッキを用いる」か「ゲームスピードそのものが早いデッキを用いてなるべく相手にターンを渡さず行動の余地を与えない」かという事になり、「中~終盤戦になってからフィニッシャーを展開する」といった、ゲームスピードが緩慢なデッキタイプにはこのような対策は難しくなってくる。
こういったデッキタイプが環境のトップメタとなれば、勝ち筋そのものが制限される事にもなりかねないのだ。
その他
参考