《エンペラー・キリコ》
バトルゾーンに出た時、自分の他のクリーチャーを全て山札の下に送還。その後、山札の上から進化でないクリーチャーが3体出るまでめくり、その3体を出したのち山札をシャッフルする。 進化でなければ、コストや文明を問わずどんなクリーチャーでも3体もコスト踏み倒し出来るという、まさに規格外の性能の持ち主。 コスト踏み倒しする対象は、単体で高いフィニッシュ力を持つファッティや、強力なcip持ちクリーチャー、追加打点で一気に仕留めるスピードアタッカーなどの選択肢がある。 進化元となるサイバーやオリジンは、《黙示賢者ソルハバキ》や《黙示聖者ファル・レーゼ》が採用される。コントロールカードとしてデッキ回転を助けつつ、《エンペラー・キリコ》でコスト踏み倒ししてしまっても《母なる星域》を回収することで、自身を進化元に《エンペラー・キリコ》を出し直す隙のないムーブが可能であった。 欠点としては進化クリーチャーでコストが8とかなり重めなことが挙げられるが、進化元は良粒揃いの上、《母なる星域》で両方のデメリットをほぼ克服してしまった。それでもハンデスやランデスなどのコンボ妨害、速攻などはつらい展開になりがちであったが、逆に言えばそうでないデッキ相手なら常々、《エンペラー・キリコ》を出すことにさえ成功すれば、圧倒的な能力で相手を捻り潰すことが可能だった。 1度出されると悪い時は全くターンが回ってこないことから、往年の《無双竜機ボルバルザーク》に匹敵するとまで言われ、『ボルバル・マスターズ』になぞらえて『キリコ・マスターズ』という言葉まで生み出した。《サイバー・N・ワールド》や《ボルバルザーク・エクス》の登場以降はさらに悪化し、【エンペラー・キリコ】は【Nエクス】と並んでソリティアデッキとして名をはせ、環境を蹂躙した。 進化クリーチャーは進化元をディスアドバンテージにして召喚されるため、通常のクリーチャーに比べて強力なデザインをされているのが普通だが、このクリーチャーはそれを補って余りあるほどの膨大なアドバンテージを叩き出す凶悪なフィニッシャーであった。 環境において神化編最初の弾であるDM-32で登場すると、すぐに専用デッキ【エンペラー・キリコ】が組まれ、環境に出現。強力なカードではあるが汎用性の高いカードなわけではないので、専用デッキ以外での採用はまずなく、新しいアーキタイプが確立するまでにはそれなりの時間を要した。 当初のコスト踏み倒し候補は《不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー》や《魔刻の斬将オルゼキア》、《光神龍スペル・デル・フィン》などのグッドスタッフ達。また、非常に高い汎用性と対応力を持ちながら進化元にもなる《蒼狼の始祖アマテラス》は登場からプレミアム殿堂までの間必ずセットで採用され続けた。 《不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー》は2009年12月19日まで4枚積み可能であり、山札送還を拒否できるため複数回の《エンペラー・キリコ》でも盤面を保持でき、よく採用された。ワンショットには《鎧亜の咆哮キリュー・ジルヴェス》が用いられ、《不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー》の一斉攻撃は耐えるのが難しかった。 不完全なフィニッシュ力を補うために様々な型が検討され、《緑神龍ザールベルグ》と《シェル・フォートレス》でのランデスに特化した【キリコランデス】などが考案された。 DM-33で《母なる星域》が登場すると、《キリコ》を手札に保持しておく必要がなくなり大幅に強化された。とりあえずマナゾーンに置いておき準備が整ってから《母なる星域》で踏み倒すという動きがしやすくなったのである。 進化とコストの重さ、ハンデス等によるコンボ妨害の耐性のなさを一気に克服し、地雷デッキのひとつに過ぎなかった【エンペラー・キリコ】は瞬く間にトップメタにのし上がる。当時4積み可能であった《蒼狼の始祖アマテラス》から安定して着地させることが可能であり、コスト踏み倒しで《蒼狼の始祖アマテラス》がでれば母なる呪文や《フォース・アゲイン》を使うことで再度《エンペラー・キリコ》を出し直すことが可能であった。 DM-34で《ボルシャック・クロス・NEX》が登場すると、それと《光神龍スペル・デル・フィン》などのファッティドラゴンを主なコスト踏み倒し先にし、《龍仙ロマネスク》と第二の軸となる《超竜ヴァルキリアス》《超竜バジュラズテラ》を組み込んだ【星域キリコドラゴン】が誕生。 神化編環境で暴れ回ったが、2010年5月15日、《龍仙ロマネスク》・《蒼狼の始祖アマテラス》・《聖鎧亜キング・アルカディアス》(プレミアム殿堂)など相性の良いカードとともに遂に殿堂入り。進化クリーチャーとしては5例目の殿堂入り。デッキの核を見事に撃ち抜かれた結果となり、【エンペラー・キリコ】の爆発力も安定性も格段に低下。覚醒編でサイキック・クリーチャーがフィニッシャーとして跋扈する環境に変化し、【エンペラー・キリコ】は大きな弱体化を余儀なくされた。 《キリコ》の着地・デッキパワーの確保共に難しくなったことで環境からは一歩引く形となったが、代わりに超次元をサブフィニッシャーとして新たな戦略プランに組み込んだり構築をコントロールに寄せることで【エンペラー・キリコ】はしぶとく生き残っていた。この時期はどちらかというと【不滅オロチ】のサブフィニッシャーに使われることが多く、環境においてはそちらでの活躍が大きかった。 そしてエピソード1に突入すると、立て続けに相性がいいカードが登場し、一気に復権を果たした。 最終的には《ボルバルザーク・エクス》という最高の相棒まで現れた。マナのアンタップは更なるクリーチャーの展開を助長し、空の盤面からの《エンペラー・キリコ》降臨がさらに容易に。《エンペラー・キリコ》で山札に戻し再利用することで、マナは延々アンタップされつづけ、デッキのすべてのパワーカードを出し尽くすまで《エンペラー・キリコ》の賽を振り直した。 プレミアム殿堂入り前の約半年間は【ザビ・ミラキリコ】というデッキが活躍を果たした。このデッキは《復活の祈祷師ザビ・ミラ》さえ捲れれば他のコスト踏み倒し先の質を問わないため、《緑銅の鎧》や《天真妖精オチャッピィ》などのウィニーもある程度気兼ねなく採用可能であった。極論超次元呪文で《ヴォルグ・サンダー》を連打するだけでも勝てる場合があり、よしんば山札を削り切れなくとも【エンペラー・キリコ】系統であればメインデッキに呼び出し先のクリーチャーが十分残っているか疑わしい状況に追い込むことができた。8マナ貯まった時に《母なる星域》からこのクリーチャー本体を呼び出し、何とかソリティアで《黙示賢者ソルハバキ》やマナブーストクリーチャーなどを駆使してアンタップマナが8枚ある状況を作ってから《復活の祈祷師ザビ・ミラ》を素出しというパターンもあった。 合計1年以上の長きにわたり環境に君臨し続けたフィニッシャーであったが、2012年3月15日付で《邪神M・ロマノフ》と共にプレミアム殿堂への昇格が決定。進化クリーチャーとしては《邪神M・ロマノフ》と同時で2例目のプレミアム殿堂。当時の環境での活躍を見ればこの措置もやむを得ないだろう。 エピソード2間近でのプレミアム殿堂入りであり、エピソード2でゼニスやキング・コマンド・ドラゴンなどの強力なファッティが登場したため、そのためにも必要な措置だったのだろう。 【星域キリコドラゴン】は水自然のデッキエンジンで火光のファッティクリーチャーを繰り出して戦うデッキのアーキタイプとして、【Nエクス】のノウハウとともにビッグマナに受け継がれることになる。 その後、何枚か転生版が作られたが、性能は大きく変化しておりそれぞれ別のデッキビルディングが求められる。 時は経ち王来篇に入ると、DMEX-17でデュエキングMAXカードとして再録され、DMBD-18の発売と合わせて規制緩和の布石とも考えられた。 今後はDMBD-18の強化札として期待できる。そちらに収録された《神歌の歌姫 アマテラス・キリコ》とはセットで使えるだろう。《クイーン・アマテラス》や《蒼狼の王妃 イザナミテラス》など新たな進化元が登場しているので、1枚積みのハンデを乗り越えたい。 殿堂復帰後は【キリコチェイングラスパー】で一定の活躍を収めている。とはいえあくまでループの補助としての性質が強く、このデッキはこれに依存するコンボデッキというわけではない。それでも青黒緑基盤では《地龍神の魔陣》や《天災 デドダム》、《終末王秘伝オリジナルフィナーレ》のおかげで、《神秘の宝箱》不採用でも殿堂入りのハンデを感じにくい程度の確率で手札やマナゾーンに引っ張り込める。 DMRP-21で自身の能力の濁りにならない《アストラルの海幻》と《コーライルの海幻》を進化元に獲得。 【アカシック3】登場以降は、速度・安定性に勝るそちらに【キリコチェイングラスパー】自体が取って代わられたが、そちらが規制により弱体化すると環境に復帰。徐々にメインループに拘らず、《卍月 ガ・リュザーク 卍/「すべて見えているぞ!」》や《CRYMAX ジャオウガ》と言ったサブフィニッシャーに寄せた型も目立つようになった。 2024年のゴールデンウィーク中にはには打開札として進化元である《八頭竜 ACE-Yamata/神秘の宝剣》と共に1枚投入した型の【5色蒼龍】が流行。 同年5月下旬のチャンピオンシップでは、スーパーサブにこれを入れた(進化元は《Disアイ・チョイス》)を採用した型の【ブレスラチェイン】も見られた(オリジナル、32人参加、優勝)。 殿堂復帰直後は厳しかったと見られたワンショット運用やグッドスタッフ呼び出し運用が復活するなど、上手くコスト踏み倒しが決まった時のアドバンテージが健在であることを示したと言える。また、進化元の指定先は《天災 デドダム》や《龍風混成 ザーディクリカ》などを進化元にできない原則文明指定の劣化だが、《Disアイ・チョイス》を進化元にするなど一見して直感的ではない角度(要は《蒼狼の王妃 イザナミテラス》ではないところからいきなり登場できること)でケアを難しくさせる利点がある。 その他
デュエル・マスターズ プレイスでは
DMPP-12で実装。コストが1上昇し、cipが1ターンに1回のみしか発動しなくなった。 弱体化したとはいえ、最大の特徴である「進化でなければ、コストや文明を問わずどんなクリーチャーでも3体もコスト踏み倒し出来る」という点は変わっていない。 《無頼妖精ワイルド・リリィ》、《薔薇の使者》、《神歌の星域》といった登場時ではほぼ専用のサポートカードや、《蒼狼の始祖アマテラス》といった相性のいいカードも充実している。 環境においてDMPP-12実装後すぐに、【エンペラー・キリコ】は高い安定性と爆発力を備えたデッキとして環境での地位を築いた。本体性能こそTCG版に劣るとはいえ、《無頼妖精ワイルド・リリィ》や《薔薇の使者》によって安定した《キリコ》早期着地が可能であり、そこから《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》が出てしまえば一気に勝負をつけることができた。 DMPP-13期には、【ボルシャック・NEX】と【剣誠・ドラゴン】にフィニッシュまでの低速化の調整が加えられたため、【エンペラー・キリコ】も《薔薇の使者》のコスト加重調整で低速化された。公式発表によれば、【エンペラー・キリコ】の勝率・使用率に問題はないが、上記2デッキ弱体化や今後実装予定のカードによる影響を懸念したとのことである。 DMPP-16では《サイバー・N・ワールド》《ボルバルザーク・エクス》《永遠のリュウセイ・カイザー》などが登場し、デッキパワーが上がった。反面、2022年10月27日に《エンペラー・キリコ》本人がDP殿堂となった。 【エンペラー・キリコ】はそれによって踏み倒す大型クリーチャーの割合を意図的に大きくしたデッキなため、盾落ちなどでメインプランを失った場合の被害は【アポロヌス・ドラゲリオン】よりも大きい。 DMPP-18直前の環境では《サイバー・N・ワールド》《ボルバルザーク・エクス》《永遠のリュウセイ・カイザー》などを得たことよりも、失ったカード[1]、DP殿堂の逆風が大きすぎて使用率はかなり落ちた(参考:大会環境(ND)の使用率分布)。 DMPP-21で【バルガライゾウ】が大型ドラゴンを出す前に《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》を高速で踏み倒し事実上のエクストラウィンする対策デッキの一つとして使える。それを抜きにしても、デッキと色が合い出た時点で常在型能力で役に立つ《界王類絶対目 ワルド・ブラッキオ》をこの弾で獲得しているため、コンボ成功時の出力も純粋に高まっている。 背景ストーリーにおいてデュエプレ世界の背景ストーリーでは、オリジンの中でも別格の力を持つオリジン軍の首領格。 《超竜サンバースト・NEX》が《破壊龍神》を撃破したことを機に超獣世界側が勢いづき、誰もがオリジン軍を撃破できると信じたタイミングで出現。
その他
関連カード
フレーバーテキスト
収録セットデュエル・マスターズ
デュエル・マスターズ プレイス参考
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