《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》
DMC-27で登場した火のアーマード・ドラゴン。第2の「ボルメテウス」。 《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》の転生した姿という意味合いで登場した、DMC-27の5枚の限定カードのうちの1枚。 スピードアタッカーとシールド焼却のT・ブレイカーはシナジーが大きく、切り込むことが出来れば3枚ものシールドを葬り去る。相手から見れば突然シールドの半分が消え去ることになり、稼げるアドバンテージは大きい。 発売当時のカードプールでは、自分の場に殴り手がいて、相手のシールドが3枚以下でブロッカーがいなければ勝ち同然であった。しかし、後に登場したシノビや革命0トリガーによって、そうも言えなくなった。 弱点はコスト10という重さで、これを克服しなければならない。またブロッカーに止められると、シールド焼却という強みを発揮出来ない。 基本は順当にマナブーストするかコスト踏み倒しを狙うことになるだろう。 性質的に一切クセがなく、「相手に手札を与えてしまう」というアタッカーが常に背負う難しさをも克服した、極めて扱いやすいパワーカードである。その奇襲性からビートダウンにも、相手に反撃の芽を与えず純粋なアドバンテージを稼ぐ点からコントロールにも採用できる。 しかし、いくら使いやすく強力であるとはいえ、考えなしに採用するのは禁物である。エピソード2以降ファッティのフィニッシャーは爆発的に増えているため、デッキの方針と相談して適切なフィニッシャーを採用するべきだろう。 同じ火文明単色で10コストのドラゴンだけで見ても、《勝利宣言 鬼丸「覇」》、《二刀龍覇 グレンモルト「王」》、《勝利天帝 Gメビウス》、《龍世界 ドラゴ大王》など対抗馬は非常に多い。それぞれ明確な強みがあるため、デッキに合うものを選びたい。 高い奇襲性を持ち、純粋かつ強烈なアドバンテージを稼ぎ出すフィニッシャー・アタッカーである。攻撃を上手く通すことができれば、相手に有無を言わさぬ凶悪なフィニッシュ力を見せつけてくれるだろう。 環境において転生編環境の末期、2006年2月11日発売のDMC-27で登場。この時期では、環境を荒しに荒らしまわった《無双竜機ボルバルザーク》が2006年3月15日付けでプレミアム殿堂を控えていたが、このカードはその後継者として環境を荒らすことになる(通称「サファイア地獄」)。 実戦では《母なる大地》や《転生プログラム》などのコスト踏み倒し呪文が4枚フルに使え、あっさりとコスト踏み倒しができ、コストの重さは大した問題にはならなかった。《セブンス・タワー》や《大勇者「ふたつ牙」》などのマナブーストや、ドラゴンの豊富なサポートが充実しており、当時の環境も現代より遅かったことも大きい。そのため、《ボルバルザーク》のプレミアム殿堂後は一気にその評価を急上昇させることになる。 DM-18の発売後に行われた公式大会では、オープンクラスでアフタージェネレートリーグが実施された。ここではカードプールに制限が設けられ、転生編で登場、再録されたカードのみが使える環境となっていた。過去の強力なカードのいくつかが使えないこともあり、【サファイア】は遺憾なくその実力を発揮。《大勇者「ふたつ牙」》を中心にしたマナブーストと併せた【牙サファイア】が上位を独占した。通常の環境でも通用するデッキだったため、各地の公認大会でも使用者が多く見られた。 その後、不死鳥編に入るとDM-19にて《インフェルノ・ゲート》が登場。 その後、【茄子サファイア】に対して有利に戦える【除去サファイア】が登場。このデッキタイプも《インフェルノ・ゲート》の高速召喚が可能な上、《魂と記憶の盾》などで相手の【サファイア】を墓地以外にも送れるので、【サファイア】時代最後のトップメタとなった。 転生編環境から不死鳥編環境を荒らし回ったことから、2007年1月15日にプレミアム殿堂が決定。登場から一年も満たない中でのプレミアム殿堂である。殿堂入りを介さずに直接プレミアム殿堂入りしたカードは《サファイア》が初の事例。一発でプレミアム殿堂に指定されたのは、【茄子サファイア】等の様に、このカードを手軽にサーチ・墓地送りからの踏み倒しを行えるデッキが登場してしまったため、殿堂入りですら効果が薄いと判断されたのだろう。長らく公式大会などでは使用ができなくなった。 その後は長らく音沙汰がなかったが、エピソード2期に発売されたDMX-12ではプレミアム殿堂となったこのカードが《無双竜機ボルバルザーク》とともに再録されるというサプライズがあった。 革命編に入ると2015年9月19日付けで、デュエル・マスターズ初のプレミアム殿堂の解除が決定した。元々デュエマに限らず「遊戯王」などごく一部のTCGを除いて禁止の格下げや制限解除といったものがほとんど存在しなかった為、当時ではまさに異例の対応であった。 当時と比べてカードプール全体がインフレしており、高速化で張り合えるデッキが増えたのは無論、優秀な除去の充実によって対処は容易になり、昔のように単体でシールドをすべて焼却することは少なくなった。対抗策が増えたので、運用しても秩序を壊さないと判断されたのだろう。 殿堂復帰当初は主に【ロマノフサイン】に挿される形で大会に顔を出すことがあったが、徐々に盤面に触れられない点やブロッカーに弱い点などがネックになり、次第にこのカードは相性の良いデッキにも入らないことが増えた。 その後は環境の高速化やファッティのインフレ・カードプールの変化で低評価が続いた。 これを受けてか2020年12月18日に殿堂解除。元々プレミアム殿堂に指定されていたカードが無制限になるのは《炎槍と水剣の裁》以来2例目。殿堂入りへの降格を経て無制限となったのは史上初。当時デュエル・マスターズ プレイスで実装されてからさほど日が経っていなかったため、話題性を重視してプレイス勢に向けてのTCG版の宣伝として解除したと考えられる。 殿堂解除後も使用率は芳しくなく、ビッグマナでも採用が見送られやすい。【5色蒼龍】でシールド焼却を行うなら初動の色になる《古代楽園モアイランド》で十分であるため。このカードの殿堂解除後に登場した《超神龍バイラス・カースド》の方が同じカウンター封じ系ファッティとして汎用性が高いというのもある。王来篇環境においては【5色ディスペクター】や【4色ロマノグリラ天門】などの、ブロッカーを並べる事でこのクリーチャーによるシールド焼却から身を守るデッキが跋扈し、苦境が続いた。 DMEX-17で強力な10コスト以上のクリーチャーサポートである《流星のガイアッシュ・カイザー》が登場しているが、にも拘らず使われないところにこのクリーチャーの不遇ぶりがうかがえる。 王来MAX期には既存のロック手段でケアしづらいタマシードS・トリガーに刺さるとして再評価の機会を得たが、上述の弱みなどから環境では利用されないまま。それでも、『全国大会2019』日本一決定戦で【グルメ墓地ソース】に火単色マナ枠サブフィニッシャーとして1枚積みされている(《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン GS》が1枚積み枠に偶に選ばれることがあると考えるとある意味では妥当な構築である)事例が確認されたため、全く使われない訳ではない。 一応『ジュニア グランプリ2024』D4賞選出の【白赤バクテラス】には2枚採用されている。 しかしDM24-EX2終期頃から【白赤緑ドリームボルシャック】にほぼ【シールドプリズン】ピンポイントへの対策として2枚から3枚程度投入される入賞レシピが散見されるようになった。 まとめかつてこのカードが大暴れした原因は、主に2点である。このカードが持つスピードアタッカー・シールド焼却・T・ブレイカーが絶大なシナジーを発揮していること、そして《転生プログラム》や《インフェルノ・ゲート》のようなコストを問わないコスト踏み倒し呪文が当時の環境に無制限で入り乱れていたことだろう。コスト論的にみてもオーバースペックではなかったが、重さがほとんどデメリットとして機能していなかった。 ただ、それらの使えないカードプールでも「サファイア地獄」は生まれており、一方で《サファイア》プレミアム殿堂後に《転生プログラム》《インフェルノ・ゲート》が環境を掌握したわけでもなかったため、当時としては「《サファイア》が元凶である」という見方は間違っていなかった。 このカードの事例に見習ったのか、後に強力な非進化ファッティを新しく収録するときは事前に当時主流だったコスト踏み倒しに規制がかかることが多い(例:《ボルシャック・クロス・NEX》の収録前に《インフェルノ・ゲート》がプレミアム殿堂、エピソード2の発売前に《母なる紋章》がプレミアム殿堂)。 漫画・アニメでの活躍
その他
デュエル・マスターズ プレイスではDMPP-06にて登場。レアリティはスーパーレアに格上げされた。 また、コスト10帯には《悪魔神ドルバロム》と《聖霊王アルファディオス》も存在している。この2体は進化クリーチャーとはいえ、どちらも先に出されてしまえば《サファイア》を出すことが絶望的になる上、どちらもサポートカードが充実しているため相手に先を越されてしまうこともあるだろう。
《サファイア》同士のミラーだと、パワーアタッカーにより、先出しの《サファイア》が後出しの《サファイア》に殴り返しで倒される。ブロッカーをあまり出さない【除去サファイア】同士のミラーマッチだと特に生じやすく、シールド焼却できるからと言って先に攻撃すると損することもある。
環境において次のDMPP-07で実装された《インフェルノ・ゲート》も、《サファイア》とは相性は変わらず良いものの、コストが7へ修正されたことでコスト踏み倒しカードとしての利点をかなり失うなど《サファイア》のみならず、組み合わせるサポートカードも全般的にTCGの反省が生かされていると思われる。 ただ、やはり召喚酔いしないシールド焼却持ちT・ブレイカーは強力で、【ヘブンズ・ゲート】、【除去サファイア】などのコントロールのフィニッシャー、【聖獣王ペガサス】の踏み倒し先として活躍していた。 このカードの登場後の2020年11月に開催された第2回の公式大会の決勝トーナメントでは8人中4人が《サファイア》を採用しており、その圧倒的なカードパワーの高さとグッドスタッフ性を象徴する結果になった。しかし、それによってS・トリガーの使用率が下がったことで、S・トリガーに弱い【赤白速攻】が優勝する結果となった。 その後もビートダウン・コントロール問わず多くのデッキの主力フィニッシャーを務めた。また、DMPP-08EXで登場した《驚天の超人》を軸にした【驚天トリガービート】 (デュエプレ)が流行してからは、そちらへの強力なメタカードとして更に評価を上げた。 《驚天の超人》のナーフ後は、コントロールデッキのフィニッシャーとしては《竜極神》や《破壊龍神》など、汎用性が高い強力なフィニッシャーに居場所を奪われることが多くなった。 しかし、多少のS・トリガーは問題にならない突破力を持つデッキ、あるいはシールド焼却以外でS・トリガーを対策できるデッキ・カードが増加していき、《サファイア》を踏み倒す【エンペラー・キリコ】や【バルガライゾウ】以外のデッキでは採用率が落ち込んだ。 DMPP-16〜DMPP-17に限り【Nエクス】でフィニッシャーとして採用される場合があった。 DMPP-18以降はワンショットなら《バンカラ大親分 メンチ斬ルゾウ》や《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》のようなハンター踏み倒しカードで《勝利宣言 鬼丸「覇」》などを大量に踏み倒せば、よっぽどのことがない限り貫通してダイレクトアタックまで決められるようになったため、そういったデッキではハンターではない《サファイア》は入らない。 DMPP-19以降は【バルガライゾウ】でも《真実の王 ヴィオラ・ソナタ》など優先したいドラゴンが増え、一方《サファイア》は今引きの強さは今一つなので全抜きが一般的となった。【メンチ斬ルゾウ】と同じく、大量展開を決めたら貫通する可能性も高く、《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》のコスト踏み倒しメタ、やろうと思えば《光神龍スペル・デル・フィン》《偽りの王 ナンバーナイン》で最大8枚体制の呪文ロックで焼却の必要性が薄れたのも大きい。 このカードをコンセプトとしたデッキ【サファイア】も参照。
関連カード「ボルメテウス」の名を持つカード
同じ能力を持つカード
類似した能力を持つカード サポートカード フレーバーテキスト
収録セットデュエル・マスターズ
デュエル・マスターズ プレイス
参考
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