殿堂ゼロデュエル
フォーマットのひとつで、殿堂カードの制約(殿堂レギュレーション)を一切行わないルール。
具体的には殿堂入り、プレミアム殿堂に指定されているカードでも4枚までデッキに入れることができ、プレミアム殿堂コンビ、プレミアム殿堂超次元コンビに指定されているペアも同じデッキに入れることができる。
公式大会としてはエピソード1から革命ファイナルあたりまで、毎年通常エキスパンション第3弾の発売後に開催されていた。公式大会での採用が終わった後も根強い人気があり、非公式の大会が開催されることもある。
かつて活躍した殿堂カード達が全力を発揮できる環境であり、殿堂レギュレーションの常識はほとんど通用しない。かつて環境を荒らしてきたデッキも、2、3ターンキルがありふれている驚異的なゲームスピードの前では厳しい戦いを強いられる。
かの《無双竜機ボルバルザーク》を使用した【ボルバル】、《メガ・マナロック・ドラゴン》や《フェアリー・ギフト》、《蒼き団長 ドギラゴン剣》をフル活用した【モルトNEXT】といったデッキですらこのフォーマットでは中堅クラス以下、環境を一色に染め上げた【ヨミジループ】すら上位には立っていないといえばその恐ろしさが分かるだろう。
過去の強力なカードが無規制であるものの、意外にも新規カードによる環境の変化も頻発する。特に近年の軽量メタクリーチャーの影響は大きく、堅実なメタビート系デッキも環境に台頭。それに対抗し【ドギラゴン剣】といった順当なパワー系デッキも比較的戦えるようになるなど、環境は流動的である。最も大型大会などが開かれない都合上、所謂「メタ読み」が発生するような機会は少ないのが実情である。
殿堂カードに一切の規制がない環境であるため運要素が強く、理不尽な敗北を喫することも多い。しかし、デッキビルディングとプレイングが勝率にある程度の影響をもたらすのは殿堂レギュレーションと変わらないため、完全にゲームが崩壊したほぼ運ゲーのような環境ではない。
また、真剣に勝ちを狙う以外にも、規制により崩壊したデッキや惜しみなく殿堂入りカードを投入したデッキを用いて、かつての環境を体験したり、殿堂レギュレーション下では一度として見られなかったコンボを使った豪快なプレイを楽しむこともこのフォーマットの醍醐味と言える。
現状、アドバンスとオリジナルのような区分はされておらず、超次元と超GRのカードも普通に使える。
DMPランキング公認大会も一応あるが、ポイント倍率は全大会0倍と、娯楽色の強いレギュレーションとなっている。アビス・レボリューション期にはDMPランキングで成立扱いとされた大会が30件程度あった。
代表的なデッキ(2024年時点)
トップメタの一角。運次第で1ターンキルを決められる恐るべきデッキであり、対策が非常に困難な当該フォーマットの問題児。
流石にこのフォーマットでも1ターンキルは滅多にできないが、《超次元バイス・ホール》や《ロスト・ソウル》などの強力な呪文を1、2ターン目に撃つことで、一気にゲームエンドに持ち込むことができる。殿堂ゼロレギュレーションの大会においては、当該デッキへの対策としてあらゆるデッキが《オールデリート》のメタカードになる《禁断〜封印されしX〜》を採用するのが定番。
《オールデリート》を《禁断〜封印されしX〜》で対策しても、それが通用しない《煌銀河最終形態 ギラングレイル》や《侵略開始!!にゃんこ軍団/にゃんこ砲発射!》といったサブのエンドカードも持っているため、呪文を直接ロックしない限りこのデッキに無限の勝ち筋がある。それなのに、先攻1ターン目の《ラッキー・ダーツ》展開に間に合うメタカードが存在せずどうしようもない。
トップメタの一角。メタを張られなければ安定して3ターンキルが可能なループデッキ。軽量メタクリーチャーの増加が逆風だが、依然としてその安定感と速度を武器に環境トップの座を保っている。
意外と必須パーツが少ないことから同じく光メインの呪文デッキである【ダーツデリート】への出張構築も見られ、1ターン目の《♪銀河の裁きに勝てるもの無し》がそのままエンドカードになりうる。
トップメタの一角。高いメタ性能と速攻を両立した強力なデッキ。
他のトップメタのデッキは呪文主体であることから、2ターン目から《ヘブンズ・フォース》で出せる《音奏 プーンギ》や《正義の煌き オーリリア》などの呪文メタが刺さる。また上記のデッキ達にはS・トリガーなどの受け札が無意味なので、環境全体で受け札があまり使われないのもこのデッキに有利に働いている。
なお、《“轟轟轟”ブランド》が殿堂入りする前の殿堂レギュレーションにおける全盛期の構築でも十分戦えたという報告もあった。殿堂レギュレーションで活躍したデッキが殿堂ゼロデュエルでも通用した数少ない事例である。
アニメ「デュエル・マスターズ WIN」第16話において、地下マスターがこのデッキタイプを使用している。
2021年頃成立し、環境入りしたデッキ。主なギミックは殿堂レギュレーションそのままであり、《ヘブンズ・フォース》や《アクアン》を加えて速度と安定感を高めている。何より《ヘブンズ・フォース》により最速2ターン目に《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》が着地できる点が非常に凶悪であり、早々に多種多様なメタクリーチャーを展開して相手の動きを封じ圧殺する。
仮に《鬼羅.Star》が出ずとも大抵は2ターン目に《アクアン》か《正義の煌き オーリリア》あたりが飛んでくるため、物量でゴリ押されてしまう事も。
かつては殿堂ゼロデュエルの代表格のようなデッキだったが、フィニッシュに4、5ターン程要するこのデッキは、今となっては上記のデッキ達には一歩劣るデッキタイプとされる。しかし、キーカードが《デュエマの鬼!キクチ師範代》(または《禁術のカルマ カレイコ》)と《アクア・パトロール》だけなので自由枠が多く、メタカードをふんだんに入れることができるため、環境に合わせて構築を変えやすいのが強み。
また、キーカードの《デュエマの鬼!キクチ師範代》は、【転生カリヤドネ】の墓地肥やしや踏み倒しを止めるメタにもなる。
《「正義星帝」 <鬼羅.Star>》でフィニッシュパーツ両方を呼び出せるため、【鬼羅.Star】基盤の白青黒構築もあり、最速先攻2ターン目で安全にフィニッシュできる。
ドラゴン・サーガ期には成立していた由緒あるデッキ。【転生サイクリカ】や各種メタビートの存在によってあまり活躍できていなかったが、王来篇で多数のサポートカードを手にしたことで少しずつ環境にも台頭している。多彩なルートとチェイン・コンボによる安定性の高いフィニッシュが魅力。
《蒼狼の始祖アマテラス》によってコスト4以下の呪文を使い分けながら、《とこしえの超人》などで相手を足止めしつつ安全にソリティアしてフィニッシュする。多少の事故は物量によるごり押しワンショットキルでどうにかできる打点の多さも魅力。
2022年に入り突如として環境に現れた新星。《ベイB ジャック》と手を組んだことで最速2ターンで降臨する《十番龍 オービーメイカー Par100》により、【鬼羅.Star】、【キクチパトロール】といった多数のデッキが機能不全に陥り、他のデッキ群も《とこしえの超人》をはじめ大量のメタカードで動きを止められる。その物量による高いビートダウン性能により、《オービーメイカー》でもたついた隙にそのまま1ショットキルされてしまうため生半可な受けでは止まらないのもポイント。【ミッツァイル】折衷の赤緑型も見られる。
かつては【ジョバンニスコール】が天敵とされたが、マナさえ伸ばせば《オリオティス・ジャッジ》を放たれてもウィニーは助かり、そのまま《S級原始 サンマッド》などを活かして殴り切れることから、実際には完全に不利対面というわけではない。
2023年5月6日から5月15日にかけて、デュエチューブで投稿された殿堂ゼロ王決定戦での優勝デッキ。
小型全般には《凄惨なる牙 パラノーマル》による殲滅、対【ダーツデリート】には《禁断〜封印されしX〜》採用でのメタ、【ジャックメイカー】には《希望のジョー星》など、大量展開に刺さる《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》で《ラッキー・ダーツ》→《煌銀河最終形態 ギラングレイル》の出力も下げると、殿堂ゼロデュエル環境をメタったデッキ。
2ターン目《ヘブンズ・フォース》から《「策略のエメラル」》経由で《パラノーマル》を発動させたり、最後には《ヒラメキ・プログラム》から《水上第九院 シャコガイル》を着地させシールドを殴らずにエクストラウィンを狙うと節々にプレミアム殿堂も採用されている。
火のコマンドは入っていないデッキの《禁断〜封印されしX〜》採用だが、初期山札を減らすのは《シャコガイル》とシナジーがある。
基盤が【白青ギャラクシールド】系列なだけあって耐久力も高く、速攻デッキにもシールドの大量追加で抵抗できる。
殿堂レギュレーションで大立ち回りを繰り広げた最速3ターンキル可能なループデッキ。その安定性と速度はこちらのレギュレーションでも十分に通用し、《絶望神サガ》殿堂入り後に登場した《戦攻のシダン アカダシ/「いいダシがとれそうだ」》や《アーテル・ゴルギーニ》、《ヒラメキ・プログラム》を取り入れる事で、現役時代よりさらにデッキパワーを上げる事が可能。
2023年後期にとあるアドバンス構築有識者によって生み出された、【白ガイアッシュ覇道】を基盤として【ドギラゴン剣】へと大幅に先祖返りさせたデッキ。
これまで殿堂ゼロ環境では大きく後れを取っていた【ドギラゴン剣】だが、【鬼羅.Star】や【ジャックメイカー】の展開したメタクリーチャーをいとも簡単に一掃する《「オレの勝利だオフコース!」》や、《最終龍覇 ロージア》に装備して【赤白“轟轟轟”ブランド】やGRクリーチャーを初めとした火のウィニー戦術を崩壊させる《邪帝斧 デッドアックス》等の強化パーツを貰い受けた事で遂に環境最前線へと浮上。相手が《ヘブンズ・フォース》等の踏み倒しを使えば《流星のガイアッシュ・カイザー》による反撃が待っており、かと言ってメタカードで対策を図っても《切札勝太&カツキング -熱血の物語-》や《「オレの勝利だオフコース!」》で消し飛ばされるのがオチ。果ては少しでも後れを取ると必殺の《“龍装”チュリス》→《蒼き団長 ドギラゴン剣》で一気にゲームエンドへと持ち込まれる。革命チェンジの天敵である《希望のジョー星》、《DG-パルテノン 〜龍の創り出される地〜》に対してもしっかり《インフェル星樹》という解答まで完備されている。
特筆すべきは意外にも【ダーツデリート】対面で圧倒的優位に立てる事。元から《禁断〜封印されしX〜》を無理なく採用できるデッキ故に《オールデリート》は実質無効。尚且つ強力な防御札が15枚以上積まれるので《煌銀河最終形態 ギラングレイル》すらも捌き切ってしまえる。《ラッキー・ダーツ》で呪文を唱えるという事は当然こちらの《ガイアッシュ》を誘発しており、返す刀でチェンジした《ドギラゴン剣》からの展開と一斉攻撃で相手の生命線であるシールドを根こそぎ刈り取りそのまま潰せる。このデッキにより【ダーツデリート】側は超GRゾーンの構築見直しを強いられる事となったと言えばその影響力は窺えるであろう。
上記の中では【転生カリヤドネ】や【絶望神サガループ】が不利対面であるが、それらに対しても《音精 ラフルル》、《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》といった解答札があるため十分に食らい付く事が可能。
総じて、近年稀に見る純粋なカードパワーで殴り倒すフェアデッキでありながら対応力が非常に高く、上記のデッキ群だけでも多くの相手に対して有利を取れる。
その他
- プレミアム殿堂のカードはたいてい認定後に再録されることはなく、中には殿堂解除の見込みがないと見て廃棄するプレイヤーも少なくないので、流通量が中々確保できず集めるのはやや難しいことも。
- 殿堂ゼロが創設されたのは2011年8月(エピソード1期)だが、それ以前から公認大会などで殿堂レギュレーションが適用されない「フリー対戦コーナー」が設けられることがあった。
- 殿堂レギュレーション以外のルールや能力によって枚数が制限されているカードは、その制限を超えてデッキに入れることはできない。競技性の高い公式大会も少なからず開催され、そこでは一部のジョークカードもしっかり使用を禁止される。
あくまでも殿堂レギュレーションの影響を受けないだけであって、なんでもありなルールではないことは留意しておきたい。
参考