誘発型能力

誘発型能力(ゆうはつがたのうりょく)

特定の条件を満たすと誘発する能力
トリガー能力」と呼ばれることもある。名称については後述。

誘発条件(〜した時)効果(〜する)」の書式で書かれる。

怒髪の豪腕(レイジ・アーム) C 自然文明 (2)
クリーチャー:ビーストフォーク 1000+
他のクリーチャーがバトルゾーンに出た時そのターン、このクリーチャーのパワーは+3000される。
飛行男 C 闇文明 (2)
クリーチャー:ヘドリアン 1000
このクリーチャーが破壊された時相手の手札を1枚見ないで選び、捨てさせる。

誘発型能力が誘発条件を満たすことを「誘発する」もしくは「トリガーする」、誘発型能力の効果を処理することを「解決する」という。
誘発型能力にはいくつかのルールがある。これを覚えておかないと、カードを使った結果がまるで変わってしまうことがあり、注意が必要である。



誘発型能力のルール(※2015年7月15日改定)

1.誘発型能力は、他の誘発型能力や呪文の解決中には解決されない
呪文や他の誘発型能力によって誘発型能力が誘発した場合、それらが解決されるまで待機状態になり、それらが終わってから解決される。

例)《獰猛なる大地》《魔刻の斬将オルゼキア》を出し入れする場合、《獰猛なる大地》が墓地に置かれてから《オルゼキア》の誘発型能力クリーチャー破壊する。


2.誘発型能力は、全ての常在型能力の効果を適用した後に解決される。誘発条件のない常在型能力は全ての誘発型能力に優先する。

例)《怒髪の豪腕》バトルゾーンに存在する時に《希望の親衛隊ファンク》召喚すると、まず《希望の親衛隊ファンク》常在型能力の効果が処理され、《怒髪の豪腕》破壊される。
一応、《怒髪の豪腕》がいなくなっても、誘発していた誘発型能力であるパンプアップが次に解決されるが、怒髪の豪腕は既に破壊されて場にいないので不発に終わる。


3.誘発型能力が同時に誘発した場合、いったん待機状態になり一つずつ解決する
自分の誘発型能力が一度に二つ以上に誘発した場合、好きな順番でひとつずつ解決していく(実際に誘発した順番通りでなくてよい)。

例)《ヘブンズ・ゲート》《奇跡の精霊ミルザム》《音感の精霊龍 エメラルーダ》を出す場合、《ヘブンズ・ゲート》墓地に置かれてから、ウルトラシールド・プラスシールド交換暴発)を好きな順番で解決する。


4.自分と相手の誘発型能力が同時に発生した場合、ターンを進行しているプレイヤー(>ターン・プレイヤー)が自身の誘発型能力を好きな順番で解決し、すべて解決し終えた後でもう一方のプレイヤーが自身の誘発型能力を解決する

例)互いの《飛行男》バトル相打ちになった場合、ターン・プレイヤー《飛行男》pigを先に解決する。

また、自分と相手の誘発型能力が同時に誘発した場合、自分のターンか相手のターンかで結果が異なることがある

例)《威牙忍ヤミノザンジ》を召喚して、相手の《怒髪の豪腕》(パワー1000)を破壊しようとしたとする(どちらも誘発型能力)。それが自分のターンなら《ヤミノザンジ》の「パワー−2000」の能力から解決されるので《怒髪の豪腕》は破壊される。しかし、相手のターンだと《怒髪の豪腕》の誘発型能力から解決されるので破壊できない。


5.誘発型能力解決中に別の誘発型能力が誘発した場合、同じタイミングで誘発した誘発型能力として扱われる(4.と関連)。加えて、非ターン・プレイヤーの誘発型能力解決中にターン・プレイヤーの誘発型能力が誘発した場合、如何なる場合でも必ずターン・プレイヤーの誘発型能力が優先的に解決される。(非ターン・プレイヤーがもつ未解決の誘発型能力は、解決が保留される)

例)バトルゾーンに相手の《百発人形マグナム》がおり、また、自分の手札マナゾーン《若頭 鬼流院 刃》がいるとする。
自分のメインステップ中に《若頭 鬼流院 刃》を召喚し、能力で2体目の《若頭 鬼流院 刃》マナゾーンからバトルゾーンに出すと、2体目の《若頭 鬼流院 刃》と相手の《百発人形マグナム》の2つの誘発型能力が誘発する。

この場合、まずターン・プレイヤーから解決するため、2体目の《若頭 鬼流院 刃》cipを先に解決する。

例)バトルゾーンには自分の《真実の皇帝 アドレナリン・マックス》とその他クリーチャーが、相手の《聖霊龍王 バラディオス》が2体いるとする。《アドレナリン・マックス》はまだこのターンタップされたことがないとし、ここでその他クリーチャーで相手の最後のシールドブレイクしたとする。

このとき能力トリガーするのは2体の《バラディオス》のみである。まず1体目の《バラディオス》の能力解決されるが、その際《アドレナリン・マックス》の能力トリガーする。《アドレナリン・マックス》の持ち主がターン・プレイヤーであるため、《アドレナリン・マックス》の誘発型能力を解決して全ドラゴンアンタップする。その後2体目の《バラディオス》解決となるため、最終的に全軍がタップ状態になる。


6.同じ誘発型能力が並列している場合、S・トリガーS・バックサバキZG・ストライクの解決が何よりも優先される呪文解決中でなければ、誘発型能力解決中であってもS・トリガー等の解決が割り込んで優先される。同じS・トリガー等であれば、こちらもターン・プレイヤーに優先権が存在する。逆に非ターン・プレイヤーのS・トリガー等と、ターン・プレイヤーのそれ以外の誘発型能力が並列した場合は、見かけ上非ターン・プレイヤーが優先される格好になる。

例)《音感の精霊龍 エメラルーダ》の能力でシールドを手札に加えた時、そのシールドから《サイバー・ブレイン》がトリガーした。この場合、S・トリガーを優先するのでまず《サイバー・ブレイン》でカードを3枚まで引き、それを墓地に置いた後、《エメラルーダ》の能力で手札のカードをシールド化する。シールド化した後にドローすることはできない。
例)《「黒幕」》を召喚し、3体のゴッドでG・リンクした。先にブレイク能力を解決し、相手のシールドをブレイクしたが、ここで相手が《ホーリー・スパーク》《終末の時計 ザ・クロック》S・トリガーで発動した。S・トリガーを優先するので、先に《ホーリー・スパーク》でこちらのクリーチャーを全てタップし、《ザ・クロック》が場に出る。その後、ターン・プレイヤーの《「黒幕」》の能力で相手は手札を全て捨て、次に非ターン・プレイヤーの《ザ・クロック》の能力でターンの残りをとばす。《ホーリー・スパーク》より前に《「黒幕」》のハンデスを解決することはできず、また上記5のルールにより《ザ・クロック》を《「黒幕」》のハンデスより前に解決することはできない。

条件付き誘発型能力

「Aした時、Bなら、Cする(してもよい)。」の形式で書かれた誘発型能力を「条件付き誘発型能力」と呼ぶ。
このとき、「Bなら」の部分が条件にあたる。

予言者リク C 光文明 (5)
クリーチャー:ライトブリンガー 1000
S・トリガー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のシールドが2つ以下なら、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとしてシールドゾーンに加えてもよい。

ルール

1. 条件を満たしていなくても誘発する。


2. 効果解決時に条件をチェックし、条件が満たされていれば効果を解決する。誘発した時に条件を満たしているかどうかは参照しない。


3. 条件の後に「その後」で区切られた効果がある場合、条件を満たしていなければ「その後」以降の効果も解決しない。

ガヨウ神 SR 無色[ジョーカーズ] (5)
クリーチャー:ジョーカーズ/スペシャルズ 4000
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、バトルゾーンまたはマナゾーンに自分のジョーカーズが合計5枚以上あれば、カードを2枚引く。その後、ジョーカーズを1枚、自分の手札から捨ててもよい。そうしたら、カードを2枚引く。
  • 《ガヨウ神》の場合、「バトルゾーンまたはマナゾーンに自分のジョーカーズが合計5枚以上」の条件を満たしていなければ「ジョーカーズを1枚、自分の手札から捨ててもよい。そうしたら、カードを2枚引く。」を解決できない。
  • 2020/12/17以前は、一部のカードに対して「『その後』以前の条件を満たしていなくとも『その後』以降の効果を解決できる」という裁定が出されていた。
    2020/12/17の裁定変更により、上記の裁定で統一されている。

条件付き誘発型能力ではない例

制御の翼 オリオティス R 光文明 (2)
クリーチャー:ジャスティス・ウイング 2500
ブロッカー
このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。
相手が、自身のマナゾーンにあるカードの枚数よりコストの大きいクリーチャーを出した時、相手はそのクリーチャーを自身の山札の一番下に置く。

上記の例にある「自身のマナゾーンにあるカードの枚数よりコストの大きい」は誘発条件の一部であり、効果解決の条件ではない。

  • 例1:相手のバトルゾーンに《制御の翼 オリオティス》があり、自分のマナゾーンのカードが5枚の状況で、《双砲 ロードスター》をバトルゾーンに出し、自分のマナを1枚墓地に置いた。
    《ロードスター》がバトルゾーンに出た時点ではマナゾーンのカードが5枚あったため、《オリオティス》の誘発条件である「自身のマナゾーンにあるカードの枚数よりコストの大きいクリーチャーを出した時」を満たしておらず、《オリオティス》の能力は誘発しない。
  • 例2:相手のバトルゾーンに《制御の翼 オリオティス》があり、自分のマナゾーンのカードが2枚の状況で、《青銅の鎧》を何らかのカードの効果でバトルゾーンに出し、マナを1枚増やした。
    《青銅の鎧》がバトルゾーンに出た時点ではマナゾーンのカードが2枚だったため、《オリオティス》の誘発条件である「自身のマナゾーンにあるカードの枚数よりコストの大きいクリーチャーを出した時」を満たしており、《オリオティス》の能力が誘発し待機状態になる。
    その後マナが3枚になっていたとしても、既に誘発した《オリオティス》の能力が解決され、《青銅の鎧》は山札の一番下に置かれる。
黒神龍グールジェネレイド SR(VR) 闇文明 (7)
クリーチャー:ドラゴン・ゾンビ 6000
W・ブレイカー
自分の《黒神龍グールジェネレイド》以外のドラゴンが破壊された時、このクリーチャーが自分の墓地にあれば、このクリーチャーをバトルゾーンに戻してもよい。

この「このクリーチャーが自分の墓地にあれば」は解決条件ではなく、誘発条件に含まれる一節である。

その他の能力との関連

誘発型能力であるものの例

誘発型能力ではないものの例

名称について

以前は「トリガー能力」の名が公式サイトをはじめとして使われていたが、デュエル・マスターズ総合ゲームルール制定に伴い「誘発型能力」が正式名称となった。
ただし、プレイヤー間でのこの名称は根強く、今でも「トリガー能力」と呼ぶ者は多い。

  • 誘発型能力に改名されたのは、「S・トリガー」がトリガー能力ではなく常在型能力であることや、「トリガー能力」と言うと「S・トリガー」と混同してしまう恐れがあることが原因だと考えられるが、真意は不明。
    • 初心者にデュエマの説明をするときは、こちらより「誘発型能力」という言葉を使った方が親切だろう。
  • 「トリガー能力」という俗称の由来であるMagic:The GatheringのTriggered Abilityも、同様に「誘発型能力」と訳されている。

その他

  • かなり重要なルールのはずだが、スターターデッキ付属のルールブック等にはあまり記載されていない。
    あまり複雑すぎることを大々的にルールブックに載せると、初心者や低年齢層が敬遠してゲームの間口が狭まるという事情もあるのだろう。
  • バトルゾーンに出した時〜」のcip能力、「破壊された時〜」のpig能力、「攻撃する時〜」のアタックトリガーは全て誘発型能力に該当する。
    また、S・トリガーは、「トリガー」と銘打っているものの、手札に加えた時にトリガーする誘発型能力ではなく、手札に加える時にすぐにプレイできる常在型能力である。
  • 誘発型能力は何らかのイベントによって引き起こされる。そのため、必ず誘発条件となるイベントが完了した後に効果を生成する。
    例)《邪魂創世》《予言者ファルシ》破壊した場合、《邪魂創世》を墓地に置いてから《ファルシ》のpig解決する。

参考


公式Q&A

Q.《卍月 ガ・リュザーク 卍》の「無月の門・絶」の能力は、バトルゾーンまたは墓地にある「魔導具」の枚数が足りない状況で誘発型能力の宣言をすることによって召喚をしたことになりますか?
A.いいえ、その状況では誘発型能力の宣言は可能ですが、召喚したことになりません。(総合ルール 603.2e)
引用元


[1] 実質継続的効果と同義
[2] 何らかの能力によって生成される効果が後から発揮されること