緑単(みどりたん)ループ】


緑単、ないしは準緑単構築でチェイン・コンボからの無限ループを志向したコンボデッキの総称。《邪帝斧 ボアロアックス》主体の場合は【緑単サソリス】《霊騎サンダール》主体の場合は【ラグマループ】《獣軍隊 キンコング》主体の場合は【キンコングループ】《グレート・グラスパー》主体の場合は【チェイングラスパーループ】と呼ばれることが多いため、実質的にそれら以外を指す。

2016年9月15日から2018年3月1日までの状況としては猿ループ、鎖風車ループと同義であった。

概要

自然は、マナ加速クリーチャーサーチマナ回収コスト軽減マナ送りの手段を多数擁している。そのため、組み合わせ次第では構造的にcipループが成立しやすい下地は整っていた。
しかし、要求枚数の多さから現実的ではなく、そもそも緑単構築でループすることがあまり知れ渡っていなかったためにドラゴン・サーガ初期までメジャーになることはなかった。

ところが、DMX-18リリース後から状況が一変する。《邪帝斧 ボアロアックス》の登場によりマナゾーンからのコスト踏み倒し手段が用意されたことで、ループ成立要件が一気に易化した。

DMR-23では、《ベイB ジャック》が登場。バトルゾーンのクリーチャーが次々にマナリソースに変換され、cipの連鎖に拍車がかかる。

これらの影響もあり、新たな自然のカードがリリースされる度に「そのカードはループに使えるのか」「過去のカードとのシナジーはどうか」と考えるプレイヤー人口が相対的に増加した。
《邪帝斧 ボアロアックス》殿堂入り後は「《邪帝斧 ボアロアックス》に頼らないループの研究が進むことで逆にキルターンが短くなる」という謎の逆転現象も発生した。
ループに入れない時でも《ベイB ジャック》による展開力のおかげで、当時としては比較的強力であった4ターン目でのワンショットが非常に容易に実現可能であった。しかもワンショット専用のパーツを一切入れずにこれが実現できたのである。その上《獣軍隊 ヤドック》のおかげである程度のカウンター封じもできた。
しかも現役当時には大量展開メタや手札以外メタも事実上存在せず、このデッキに対する明確なメタカードはなかった。ドラグハート対策のカード指定除去も後年と比べるとまだまだ総じて貧弱なものであった。
革命ファイナル環境から新章デュエル・マスターズ環境では、自ら対戦で使用するかどうかに関係なく【緑単ループ】への深い理解を持つことがチャンピオンシップでの勝敗を左右したとまで言われる。これは、回し方を知っていることで相手が最速でループに入るかどうかなどを状況判断でき、延いてはそこから自分の取るべきプレイングを選択することができるためであった。

地雷だった過去からトップメタに駆け上がり、多くのカードを殿堂入りに追い込んだ。

比較的低予算で組める一方でプレイング難易度が高いことで有名。

使用カード

主要パーツ

《ベイB ジャック》バトルゾーンマナリソース化
《蛇手の親分ゴエモンキー!》マナ召喚可能化。
殿堂入り後は異なる色のフィニッシャーのマナを生み出すために使われる
《大勇者「鎖風車」》マナゾーンタップされたマナを回収。《ララバイ》フィニッシュには必須
《アラゴト・ムスビ》マーシャル・タッチマナ加速バウンスが要。
3軽減と《ベイB ジャック》があると、《掘師の銀》等と組合せて無限ブースト可能
《掘師の銀》《革命目 ギョギョウ》とシナジー。《大勇者「鎖風車」》の進化元。
《アラゴト・ムスビ》マナ送りにし《アラゴト・ムスビ》でバウンスする対象として最適
《霊騎ラグマール》《掘師の銀》の墳墓避け。《超神星ジュピター・キングエンパイア》の進化元の1つ
《ジャック・豆ルソン》《掘師の銀》の墳墓避け。進化元になれない代わりにキリフダッシュ3を持つ
《S級原始 サンマッド》汎用性の高い【クリーチャーコントロール】
《カブラ・カターブラ》《雪精 ジャーベル》《天真妖精オチャッピィ》等が進化元に適し
《アラゴト・ムスビ》をマナ送りにし《アラゴト・ムスビ》でバウンスする対象として
進化元ごと戻せることから《掘師の銀》の拡張機能版としての役割を果たす
条件付きとはいえループデッキでは貴重なT・ブレイカーでもあり
状況次第ではビートダウンプランにスイッチも可能
《雪精 ジャーベル》クリーチャーサーチ
《トレジャー・マップ》
《未来設計図》
《フィーバー・ナッツ》主に3軽減目としてのコスト軽減
《桜風妖精ステップル》マナ加速。最速3ターンで、《神秘の集う遺跡 エウル=ブッカ》
《ハッスル・キャッスル》要塞化するためには《ベイB ジャック》と《ステップル》が必須
《龍覇 マリニャン》3コスト以下のドラグハートにアクセス。
主に《神秘の集う遺跡 エウル=ブッカ》専用機だが中継ぎや
《水上第九院 シャコガイル》フィニッシュのために《龍魂要塞 ブルニカ》を出すことも多い
《バロン・ゴーヤマ》《フィーバー・ナッツ》《カブラ・カターブラ》
《アラゴト・ムスビ》《クリクリ・イガラーズ》等を踏み倒せる。
《ダンディ・ナスオ》としての役割も果たせるので
《カブラ・カターブラ》《クリクリ・イガラーズ》との組合せで
実質的に確定サーチとして機能する
《カブラ・カターブラ》《バロン・ゴーヤマ》《S級原始 サンマッド》とシナジーする使い勝手が良いマナ回収
後半で主に《蛇手の親分ゴエモンキー!》を回収するためにも使う
《ハッスル・キャッスル》次のターンのノンストップ化のために
《フィーバー・ナッツ》等をハンドアドバンテージに変換するために使う。
2017年3月25日ルール改訂により、戦略的ハートバーンによる即死を防げる

採用圏内

《天真妖精オチャッピィ》墓地からマナ加速S・バック《ジョリー・ザ・ジョニー Joe》/《水上第九院 シャコガイル》フィニッシュでは必須級
《クリクリ・イガラーズ》墓地に落ちた《アラゴト・ムスビ》《バロン・ゴーヤマ》からアベイラブルにするためには必要
《霞み妖精ジャスミン》マナ加速
《龍覇 サソリス》《邪帝斧 ボアロアックス》を使うには必須
《青銅の面 ナム=ダエッド》
《青銅の鎧》武装関係なく加速できるので、《大勇者「鎖風車」》メインでは好まれる
《原始 サンナップ》コスト軽減で実質マナ回復《大勇者「鎖風車」》の進化元
《ダイヤモンド・ブリザード》スノーフェアリー主軸の場合のループパーツ
《革命目 ギョギョウ》カウンター札
《ダンディ・ナスオ》必要なパーツをマナに置く
《獣軍隊 ヤドック》踏み倒しメタ
《成長目 ギョウ》盾落ちケア
《逆転のオーロラ》
《古龍遺跡エウル=ブッカ》防御札
《革命の巨石》
《光牙忍ハヤブサマル》
《光牙忍ライデン》
《ベジタバッタ・パンツァー》あらゆる自然クリーチャーを《サンマッド》の進化元に変換
《サンマッド》殿堂以後は《ララバイ》ループに必須
《ラ・ズーネヨマ・パンツァー/逆転のオーロラ》盾落ちケア
《侵革目 パラスラプト》リカバリー要員

ドラグハート

フィニッシャー

《大神砕グレイトフル・ライフ》《ヴォルグ・サンダー》フィニッシュ
《ジョリー・ザ・ジョニー Joe》最も簡便なフィニッシュ方法の1つ
《水上第九院 シャコガイル》最も簡便なフィニッシュ方法の1つ。
《ジョリー・ザ・ジョニー Joe》では対処できない場面の勝ちも拾える
《ラルド・ワースピーダ/H.D.2.》呪文面がライブラリアウトに寄与

【緑単ループ】の変遷

くすぶるラグマループ
(〜2014年10月17日)

ドラゴン・サーガ初期までに【緑単ループ】と呼べそうなものは【ラグマループ】ぐらいなものである。当初のコスト軽減の主流は《モビル・フォレスト》で実現性は乏しかったが、クリーチャーによるコスト軽減のほうが連鎖的に軽減しやすい点が注目されると《フィーバー・ナッツ》《念仏エルフィン》に注目が集まった。《念仏エルフィン》は中途半端なスペックが悪目立ちしたが、ドラゴン・サーガ《龍覇 マリニャン》《神秘の集う遺跡 エウル=ブッカ》を手に入れたことでそれなりに実践レベルの戦力を確保する。実践レベル確保当初から《曲芸メイド・リン・ララバイ》をループさせる型自体は存在していた。

《邪帝斧 ボアロアックス》の獲得とイメンループの台頭、および青緑サソリスの成立
(2014年10月18日〜2015年12月17日)

《邪帝斧 ボアロアックス》が登場したことでさらに【ラグマループ】は強化される。しかし、同時期に登場した【イメンループ】の活躍がめざましく、緑単構築のループに対する注目度は相対的に低かった。《鎧亜戦隊ディス・マジシャン》殿堂入りも意味を成さず、そのままの勢いで第一回公認グランプリで優勝を飾る。
以後は染色による弱点が目立ち始め、《鎧亜戦隊ディス・マジシャン》の代わりに、《鎧亜戦隊ディス・ピエロ》で召喚するクリーチャーを確保しコスト軽減により召喚にかかるコストを減らすことで《邪帝遺跡 ボアロパゴス》の誘発効果を起こしやすくした「青緑サソリス」が開発された。どちらも一長一短ではあるが、どちらかといえばイメンループのほうが成績を残した。

《S級原始 サンマッド》の獲得と、緑単サソリスのコンボデッキ化
(2015年12月18日〜2016年9月14日)

イメンループの《鎧亜戦隊ディス・マジシャン》の禁止化に備えた動きが活発化し、「タテブエ型」や「リケ型」に対する回帰も見られたが、《S級原始 サンマッド》が登場したことで「サンマッド型」が定着。程なくして《鎧亜戦隊ディス・マジシャン》が果たしてプレミアム殿堂になる。
同時に、複数重ねた《S級原始 サンマッド》《アラゴト・ムスビ》バウンスできることが着目され、青緑サソリスからが排除される形でループ型の【緑単サソリス】が成立した。ここから緑単ループの歴史が再開される。
第二回公認グランプリでは準優勝と3位入賞の好成績を収める(ただし3位はループではなく、当時まだ主流だったロック型)。長らく中速ビートダウンの代名詞だった緑単サソリスは、ロック型のコントロールデッキの代名詞へとすっかり様変わりした。

《ボアロアックス》の殿堂入りと脱《ボアロアックス》の潮流
(2016年9月15日〜12月15日)

第二回公認グランプリでは、《蒼き団長 ドギラゴン剣》が使えなかったため表面化しなかったが、《ボアロアックス》の展開まで時間がかかる点が環境にそぐうものではなくなった。【赤黒ドギラゴン剣】【レッドゾーン】とは異なり、1ショットキルなので、革命2を使えない《革命目 ギョギョウ》では間に合わないのである。
また、この時期に行われた殿堂入りによって《ボアロアックス》殿堂入り、《次元流の豪力》はプレミアム殿堂となった。前者はともかく、後者は素早く《ボアロパゴス》龍解に繋げる重要なパーツであったため、速度不足に拍車をかけた。
ファイナル革命の中では特に《時の法皇 ミラダンテXII》は致命的だった。召喚を防がれては何もできなくなってしまう上、対抗手段も《獣軍隊 ヤドック》しかなかった。そこで《ボアロアックス》を使わずに、より早くループ成立が達成できないものかと模索する動きが活発化する。
そこで1ターンのラグがなく実質的にマナゾーン手札に変換できる《蛇手の親分ゴエモンキー!》に白羽の矢が立った。マナゾーンに《ゴエモンキー》Aがある状態で《ゴエモンキー》Bを召喚することで、都合のいいタイミングでマナゾーンから追加で《ゴエモンキー》Aを召喚できる体制が整う。この状態で《S級原始 サンマッド》などで使用済みの《ゴエモンキー》Bをマナゾーンに送って、《ゴエモンキー》Aを召喚。これを交互に繰り返すことで、マナブーストで増えたマナも手札にできる。これに《原始 サンナップ》を絡めれば実質的にマナも回復する。つまり《ボアロパゴス》のコスト踏み倒しに該当する部分を、コスト軽減マナ召喚マナアンタップの合せ技によって再現することに成功する。
それどころか、誘発型能力によるマナ召喚であることにさらに着目され、「《極真龍魂 オール・オーバー・ザ・ワールド》で能動的に手札をリセットしても、《ゴエモンキー》で関連付けされた十分なマナゾーンのカードを手札代わりにして追加の2コスト軽減を立てれば、またそこからメインステップを継続できる」という、凶悪なコンボも発掘された。
とはいえ、まだこの時期の緑単ループの主流は【サソリスループ】であった。

ループ方法
《アラゴト・ムスビ》がマナに1枚以上《遺跡類神秘目 レジル=エウル=ブッカ》《原始 サンナップ》を進化元とした《S級原始 サンマッド》、自身か相手の任意のクリーチャーが一体以上バトルゾーンにあり、アンタップマナ3枚以上 《蛇手の親分ゴエモンキー!》が手札、《S級原始 サンマッド》が2枚、《蛇手の親分ゴエモンキー!》が3枚以上盾落ちしていないのが前提

  1. 《アラゴト・ムスビ》を3マナでマナ爆誕で召喚 《S級原始 サンマッド》を手札に戻して1ブースト
  2. 《原始 サンナップ》を1マナで召喚、3マナアンタップ
  3. 《S級原始 サンマッド》を1マナで《原始 サンナップ》を進化元として召喚して《アラゴト・ムスビ》をマナへ
  4. 1~3のサイクルを1回経るごとにタップマナが一枚増えるので、無限タップマナブースト
  5. 《蛇手の親分ゴエモンキー!》を2マナで召喚 (ループするときはサンマッドでマナへ送ってない《蛇手の親分ゴエモンキー!》をマナから召喚する)
  6. 《原始 サンナップ》を1マナで召喚、3マナアンタップ
  7. 《S級原始 サンマッド》を1マナで《原始 サンナップ》を進化元として召喚して《蛇手の親分ゴエモンキー!》をマナへ
  8. 《S級原始 サンマッド》を1マナで《S級原始 サンマッド》を進化元として召喚して《S級原始 サンマッド》をマナへ
  9. 4~8のサイクルを1回経るごとに2マナアンタップするので無限にマナをアンタップできる。
  10. 《蛇手の親分ゴエモンキー!》、(バトルゾーンに出したいクリーチャー)、《原始 サンナップ》《S級原始 サンマッド》《原始 サンナップ》を進化元として《蛇手の親分ゴエモンキー!》をマナに)、《S級原始 サンマッド》《S級原始 サンマッド》を進化元としてバトルゾーンに出したいクリーチャーをマナに)《S級原始 サンマッド》《S級原始 サンマッド》を進化元として《S級原始 サンマッド》をマナに)の順に召喚することでコストが支払えるマナゾーンにある緑色の好きなクリーチャーを無限回召喚できる。当時は《曲芸メイド・リン・ララバイ》がフィニッシャーで《極真龍魂 オール・オーバー・ザ・ワールド》で山札を回復していた。

《ベイB ジャック》の獲得とループ成立の高速化
(2016年12月16日〜2017年2月25日)

《ゴエモンキー》のおかげでキルターンが早くなった【緑単ループ】だったが、《ベイB ジャック》の登場はこの流れを加速させた。《サンマッド》が手札マナゾーンバトルゾーンを駆けずり回るこのデッキにおいて、バトルゾーンマナリソースに使えるということは、実質的に無限のマナを得たことに等しい。《ベイB ジャック》自身もシステムクリーチャーとしては破格な性能を有しており、登場から日本一決定戦直前までのチャンピオンシップを一気に荒らした。

《蛇手の親分ゴエモンキー!》の殿堂入りと《大勇者「鎖風車」》への脚光
(2017年2月26日〜7月7日)

チャンピオンシップによって環境の変化をいち早く察知した公式は、《ゴエモンキー》の殿堂入りを決定。しかし、それに呼応するかのように新たな代替カードが発掘される。
それが《大勇者「鎖風車」》である。任意コスト軽減によって実質的に回収できる枚数を調整できる上に、仮にマナゾーンが空になってしまっても《ベイB ジャック》でバトルゾーンをリソースにしてしまえば問題がなくなってしまう。なお、《大勇者「鎖風車」》を中心に据える場合はマナ武装が途中で使えなくなる可能性を考慮して《雪精 ジャーベル》が全抜きされているケースも目立った。マナは《青銅の鎧》で増やし、サーチ《トレジャー・マップ》《未来設計図》に託すのである。《桜風妖精ステップル》がまだ登場していなかった頃、最速キルターンが変わらないということで《霞み妖精ジャスミン》をカットし、サーチ呪文で準備をしてから唱え終わって墓地に落ちた呪文を《天真妖精オチャッピィ》でリソースに変えるという構築も見られた。
新たな相棒が追加されたことでより動きが多様化し、選択肢が増えたことで玄人好みの毛色が強まったが、勝率の高いデッキとして一気にトップメタに上り詰める。回収の物量が増えたので、《トンギヌスの槍》ループも、処理に時間こそ掛かるが、この頃には成立しやすくなっていった。
第四回公認グランプリ3位入賞の【緑単ループ】には《鎖風車》は入っていないが、TOP32ではそれなりの採用率を誇り、情報が広まると一気に主流化した。
以後は《獣軍隊 ヤドック》のおかげでデッキに占めるゲリラ・コマンド率がそれなりに高くなったので、フィニッシャーとして《大神砕グレイトフル・ライフ》を採用し、【ヴォルグ・サンダーライブラリアウト】でフィニッシュを簡便化して時間切れ対策を施すようになる。
同時期には《スクランブル・チェンジ》を4枚投入出来る【モルト NEXT】との2強環境を生み出し、両者はCSにおいては他を寄せ付けない入賞率を誇った。共に圧倒的なデッキパワーを持つだけでなく、【モルト NEXT】を受け切るには相応の受け札が必要だが【緑単ループ】には刺さらず【緑単ループ】を処理するための軽量除去を積むと【モルト NEXT】に刺さらないという補完関係が、二強環境をより強固なものにした。
第四回公認グランプリのベスト128の使用デッキのうちこの2デッキが約半数を占めており、ベスト4の【モルト NEXT】2・【ジョーカーズ】1・【緑単ループ】1という内訳は当時の歪なメタゲームを如実に示していた。

《鎖風車》《サンマッド》《アラゴト・ムスビ》殿堂入り後の緑単
(2017年7月8日〜9月15日)

以上の結果を受け、「超CS in 熊本」に向けて主要3パーツが殿堂入りに。長らく使われてきた2枚以上の《サンマッド》を利用するという手段が使えなくなる。3軽減から《アラゴト・ムスビ》を2体交互に出すという手段も使えない。
【緑単ループ】の定石が使えなくなったことで、【ラグマループ】【緑単サソリス】に回帰する動きも一部には見られる。とはいえ、【ラグマループ】らも《ベイB ジャック》という新戦力は手に入れたが、同時に2枚目以降の《アラゴト・ムスビ》を失っている。
「超CS in 熊本」では制限を受けながらも準優勝を果たす。レシピは《ララバイ》フィニッシュで【緑単サソリス】に回帰しつつも、ワイルド・ベジーズの展開力を付与することで失われた動きを補うというものだった。銀の弾丸は15枚にも及び、極めて玄人向けの仕様と言える。そのプレイヤーの話によると、その大会では【速攻】が極端に少なかったといい、それも活躍の要因と言える。ただ、後年そのプレイヤーが出演した動画での【緑単ループ】の歴史解説によると、この型はあまり強くなかったためそれほど流行はしなかったとのこと。
あまりにも制限パーツが増えすぎたため、盾落ちケアは一撃で回収し切れる《逆転のオーロラ》に一任されるようになる。

《ララバイ》フィニッシュの手順は以下の通り。この手順を説明できなければ省略は認められないので慣れておこう。

+  2017年10月3日現在の殿堂レギュレーションで可能

《大きくて小さな農園》《パンプパンプ・パンツァー》《大宇宙シンラ》等を使った無限ループ機構もこの頃考案されたが、多数派を占めるには至っていない。

《大勇者「鎖風車」》《ベジタバッタ・パンツァー》が必要な《ララバイ》フィニッシュは煩雑極まりないため、最もフィニッシュが簡潔な《ジョリー・ザ・ジョニー Joe》が最大規模となった。《ゴエモンキー》でマナ召喚してしまえば色は関係ないためである。また、時間制限による制約に強いというのもあった。しかし、より簡単な【チェイングラスパーループ】の台頭や、【シノビドルゲーザ】コンボデッキ化に伴い、ループの選択肢が充実したため、従来の【緑単ループ】を操るプレイヤーの数は相対的に減少傾向にあった。

救世主《水上第九院 シャコガイル》の登場
(2017年9月16日〜)

《水上第九院 シャコガイル》の登場は、この流れに待ったをかけた。無限ブーストで自滅するだけならいくらでも簡単にできるこのデッキにおいて、《シャコガイル》は願ったり叶ったりの存在だったのだ。《ジョリー・ザ・ジョニー Joe》では対応しきれない《光器パーフェクト・マドンナ》の存在や《伝説のレジェンド ドギラゴン》等の敗北回避能力も、プレイング次第で無視できることから、《ジョリー・ザ・ジョニー Joe》と総入れ替えになる形で再び環境に戻った。これまで中継ぎ以上の役割がなかった《龍魂要塞 ブルニカ》だが、《シャコガイル》のおかげで評価が見直されることになる。《シャコガイル》のドローがヒントになったのか、【緑単ループ】に《ハッスル・キャッスル》を入れるという発想が生まれたのもこの頃である。

  1. 侵略ZERO《ZERO ハンド》等)を警戒する場合、無限ブーストで山札を1枚まで削ってから《龍魂要塞 ブルニカ》で引いて勝つ。
  2. 《伝説のレジェンド ドギラゴン》を回避する場合、無限ブーストで山札を5枚以下にしてから、ターンを渡して5枚引いて勝つ。

この2パターンの勝ちを自由に選択できるので、《ジョリー・ザ・ジョニー Joe》《水上第九院 シャコガイル》にしない理由は値段の面以外では存在しない。《シャコガイル》によってある意味「雑な」勝ち方が可能になった【緑単ループ】は、勝利条件が易化したこともあり、広く普及していくことになる。

実際のところ、デュエル・マスターズグランプリ-5thでは《シャコガイル》をフィニッシャーにした【緑単ループ】がベスト8に輝いている。「超CS in 熊本」で実績を残したデッキのレシピに倣ったのか、こちらもピン挿し11枚となっている。ベスト16のデッキに至っては、《ハッスル・キャッスル》《雷鳴の守護者ミスト・リエス》を最速3ターン目に用意して以降は《魔光騎聖ブラッディ・シャドウ》《黙示賢者ソルハバキ》を連打して、【白緑メタリカ】から出張させたパーツを活かしてそのデッキと同じ要領で勝つデッキであり、《神秘の集う遺跡 エウル=ブッカ》以降の行程が【白緑メタリカ】に類似したムーブと総入れ替えになっていた。

《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》の登場後、そちらをフィニッシャーにした型も成立した(いわゆる【白緑ユニバース】)が、予めアンタップクリーチャーを10体用意する手間がネックとなり、少数派にとどまっていた。《攻守の天秤》でアンタップクリーチャーを生成する手もあったが、そこまでカードを使うならそもそも【白緑メタリカ】を使う方が合理的であった。

《ベイB ジャック》のプレミアム殿堂後の緑単
(2018年3月1日〜)

手札さえよければ《神秘の集う遺跡 エウル=ブッカ》を龍解させた後は《口寄の化身》《フィーバー・ナッツ》を連打して、途中で適当に《原始 サンナップ》アンタップマナを生成し、《シャコガイル》を出してからさらに《口寄の化身》を出せばループしなくても勝てるなど、プレイング難易度の高さというデメリットすら完全に払拭された【緑単ループ】であったが、こちらより使用難度が低く、相手への干渉手段や防御力の長けた【白緑メタリカ】が《ベイB》系デッキの主流となっていた。

2018年3月1日付でデッキの根幹である《ベイB ジャック》がプレミアム殿堂に指定される。
《ベイB ジャック》の禁止化により早期の《アラゴト・ムスビ》による無限マナブーストが不可能になり、《シャコガイル》型は大きな被害を受けた。脱《ボアロアックス》型に限って言えば実戦用のデッキとしては消滅し、元の嗜み用のデッキという立ち位置に戻ったと言っても過言ではない。

それ以降、《アラゴト・ムスビ》を利用した無限マナ加速にはクリーチャー召喚コスト3軽減と《邪帝遺跡 ボアロパゴス》が必要になったため、環境の速度に適応したループは困難になったと言える。

《生命と大地と轟破の決断》の獲得
(2019/10/5〜)

緑単ループというギミック自体が下火になり環境からは完全に遠ざかっていたが、《生命と大地と轟破の決断》獲得後は一気に転機が訪れる。最新のGR召喚ギミックを盛り込んだデッキが「DMGP-9th」ベスト16の実績を残した。とはいえ、《BAKUOOON・ミッツァイル》が採用されていることを筆頭に全体的なギミックは従来の緑単ループとはだいぶ異なるものとなっている。当wikiでも【ネイチャーループ】として区別している。

殿堂ゼロデュエルにおいて

《ベイB ジャック》が登場した当初は殿堂ゼロデュエルでもそこそこ活躍していたが、《“轟轟轟”ブランド》が登場したあたりから《ベイB ジャック》《“轟轟轟”ブランド》に焼かれる面が目立って環境から脱落した。さらに【転生サイクリカ】(殿堂ゼロデュエル)が成立した頃になると、2、3枚のパーツが引けたら安定して3ターンキルができる主流デッキと異なりパーツ要求値が高すぎる点が目立つように。さらにGR召喚の登場によって安全に勝ちに行けるデッキのキルターンの基準値が3ターンとなった。4ターンで安全に勝てるのでは速度的に不十分であり、環境内で低速側に立ってしまうと相手への干渉手段に乏しい点は致命的になる。

参考