《アクア・ギャクテンポインター》

アクア・ギャクテンポインター R 水文明 (10)
クリーチャー:リキッド・ピープル 5000
S・トリガー
ブロッカー
このクリーチャーが召喚によって出た時、各プレイヤーのクリーチャーを最大1体ずつ選び、持ち主の山札の下に置く。このようにして自身のクリーチャーが選ばれたプレイヤーは、自身の山札の上から、クリーチャーが出るまで表向きにし、そのクリーチャーを出す。その後、そのプレイヤーは、自身の山札をシャッフルする。

DM24-RP3で登場したリキッド・ピープル

S・トリガーを持つそこそこのサイズブロッカーであり、召喚によって出ると各プレイヤークリーチャーを1体まで任意山札送りできる。また、こうしてクリーチャーが選ばれたプレイヤーの山札からランダムなクリーチャーを踏み倒させる。

いわゆるガチャ能力に見えるが、《ホーガン・ブラスター》のような踏み倒し前の山札のシャッフルはないため、少なくとも自分側のコスト踏み倒し山札操作などでコントロールができ、それがなくとも【ミラクルとミステリーの扉】系統のデッキ内のクリーチャーを大型で固めているデッキならばそれらを確実に踏み倒せる。「自分も選べる《斬隠オロチ》」といった方が近い。
自分のクリーチャーが切り札に変わったり、相手のアタッカーを山札に沈めて踏み倒した相手を召喚酔いさせるなど、汎用性は幅広い。

「召喚によって」という制約のため《ミラクルとミステリーの扉》や自身の能力から捲れると外れになってしまうが、S・トリガーなら召喚のため問題なく使用可能。ただ、《ギャクテンポインター》の比率を高めると即ちハズレを引く確率が上がってしまうので、例えばデッキ内のクリーチャーを《∞龍 ゲンムエンペラー》と《ギャクテンポインター》だけにして《ゲンム》を引っ張ってくるといった運用は難しく、クリーチャーの総数に対してギャクテンポインターの比率を下げる必要がある。
ガチャ系のカードの中でも《キング・マニフェスト》召喚するので相互に踏み倒しでき、外れにならない。是非併用したいところ。

ただ、外れになりがちとはいえブロッカーではあるためS・トリガーで使用した《ミステリー・キューブ》から捲れる際に呪文が捲れるよりは有意義な結果になることもあるだろう。

互いのクリーチャーを1体ずつ選べるので除去としても使えるが、《斬隠オロチ》同様必ずしも状況を改善するとは限らない。
S・トリガーとして使う際はタイミングを選べないので、出たとしても相手のデッキ内容を推測し、分の良い賭けになる時にのみ使いたい。

何気に《地封龍 ギャイア》タイプのcip封じをくぐり抜けて即座に除去できるという点で非常に希少なS・トリガー獣呪文ロックにも対応している点が活きる場面もあるかもしれない。
特に《偽りの名 ワスプメリサ》《聖霊超王 H・アルカディアス》が環境に存在し、タマシード等に頼れないブロック構築では重要だろう。
勿論それで2枚目のロック持ちが捲れては意味がないのだが。

ルール

  • デュエパーティーでは生き残っているプレイヤー全員に対して効果を使う。踏み倒したクリーチャーがcip持ちだった場合、処理を忘れてしまわない様に注意したい。

エラッタと、それ以前に可能だったループについて

DM24-RP3発売後の2024年9月30日に、cipエラッタが行われている。エラッタ以前のテキストは以下の通り。

このクリーチャーが出た時、各プレイヤーのクリーチャーを最大1体ずつ選び、持ち主の山札の下に置く。このようにして自身のクリーチャーが選ばれたプレイヤーは、自身の山札の上から、クリーチャーが出るまで表向きにし、そのクリーチャーを出す。その後、そのプレイヤーは、自身の山札をシャッフルする。

召喚によって」という制約がなく、《ギャクテンポインター》自身の能力で《ギャクテンポインター》を引くと、再度能力を誘発させることができた。
これにより、デッキ内のクリーチャーを《ギャクテンポインター》のみにすることで無限ループを引き起こし、相手クリーチャーのcipを無限に発動させてライブラリアウトさせることが可能だったのだが、ループ証明によるループ省略が事実上不可能であり、それによってゲーム進行の面で大きな問題を抱えていた。

+  過去ログ

このループはエラッタにより《ギャクテンポインター》同士が連鎖しなくなり、当然破綻した。

また、ループ目的ではなく、山札内のクリーチャーを《ギャクテンポインター》と1種類のフィニッシャーに絞り、《ギャクテンポインター》が何度か連鎖した後確実にフィニッシャーが出てくるというリクルートとしての運用もされていたが、連鎖しなくなった事でそちらも破綻した。

とはいえこれは重大な能力変更であるため、公式ホームページを見ていないプレイヤーの為にも早期の再録によるテキスト変更版が配布されるのが望ましいだろう。

他のカード・デッキとの相性

環境において

エラッタ以前は非ループ型・ループ型共に登場直後から入賞・優勝報告が出始める。一方で、ループ型はライブラリアウトが相手依存で勝ち筋として不安定だからか、はたまた際限無いシャッフルの挙句の時間切れに懲りたからか、非ループ型でフィニッシャーを呼び出す運用の方が多い。
最初期はほぼ純粋な【シールドプリズン】に投入してS・トリガーもしくは手打ちを狙う型も見受けられたが、次第にマナブーストからの《天門ノ裁キ》《禁呪と聖句の決断》を折衷して早出しする型にシフトしつつある。

非ループ型で呼び出すフィニッシャーとしては、ブロッカーとして踏み倒し手段を共用でき、色が合い、単体でゲームエンド級の性能を持つ《∞龍 ゲンムエンペラー》が定番。また呼び出しを邪魔しないサブフィニッシャー兼マナ基盤として《Volzeos-Balamord》の採用も見受けられる。

また、別にフィニッシャーを絞らずとも何が出てもファッティになるようなデッキでも除去+ランダム踏み倒しとして活躍出来るため、【白青天門】にもブロッカーサポートを受けられて除去も出来るプチ《ヘブンズ・ゲート》として投入された。

しかし、エラッタにより《ギャクテンポインター》同士が連鎖しなくなり、ループ型はもちろんの事、非ループ型も特定のフィニッシャーを呼び出す運用は破綻。
ランダム踏み倒し用途なら運悪く《ギャクテンポインター》自身を引かない限りは問題なく使えるが、召喚時限定となったため例えば【白青天門】ではブロッカー踏み倒しで出すとcipを使えずただのパワー5000のブロッカーになってしまうなど、大幅な弱体化を余儀なくされた。

エラッタ直前の時点ではこれピンポイントメタで【青黒緑マルル】《終末縫合王 ミカドレオ》を1枚積みするようになったほどである。青黒緑基盤になじみのない《終末縫合王 ミカドレオ》が動員されるほど、このカードは脅威であったのである。

エラッタ後も非ループ型の【シールドプリズン】で入賞報告が為されることもあった。《ギャクテンポインター》から《ギャクテンポインター》が捲れても運は絡むが合計2面止まるため、エラッタ後のテキストでも侮れない防御性能がある。

エラッタまでの騒動の詳細

  • DM24-RP3発売後から数日間、クリーチャーの採用をこのカードのみにした【シールドプリズン】の入賞報告が挙がるにつれて、エラッタ前のこのカードループ処理について問題点が大きく話題となり広まった。
    同名カードのみでループが可能な類似カードとして、直近でも誤植を疑われ話題になり、公式サイトで告知が出されるに至った《絶望神サガ》という前例があり、そちらは大方の予想通り後々殿堂入りとなった。
    大きく話題が広まった主な場所がX(旧Twitter)上だったこともあって、その点から「《絶望神サガ》の反省を活かしていない」「明らかな調整ミス」などといった、開発陣への批判の声も一部見られた。
    《サガ》ですらループには2枚必要であり、またループ証明自体は容易であった事を考えると、たった1枚でループしてしかも証明困難なこちらはより凶悪と言える。
    また、この頃にはX(旧Twitter)上で「ギャクテンポインター」「アクア・ギャクテンポインター」が不名誉なトレンド入りを果たしており、これを中心としたネット上での問題点の広がりと大会運営上の問題性を鑑みて、後述にもある通り《アクア・ギャクテンポインター》を店舗大会で暫定的に使用禁止、または暫定裁定を適用する旨の告知が、数ヵ所のカードショップやCS間で見掛けられるようになり、1~2日後にはこの風潮が各地へ広まった。
  • 【シールドプリズン】というデッキ自体が、制限時間ギリギリの長期戦の上にライブラリアウトを狙うという、大会では両者敗北の危険性も伴い不快感を覚えるプレイヤーも少なくない戦術を取る上、DM24-RP3発売前に入賞数を増やしていたことから不満の矛先が向いていた節があった。
    そこに、《アクア・ギャクテンポインター》による不完全ループが加わった事によって、制限時間の問題がより深刻になり話題の広まりに拍車をかけた一面があると思われる。
  • エラッタ発表の際、
    《アクア・ギャクテンポインター》のカードテキストが、ゲームプレイにおいて想定外の挙動を引き起こすことが発覚しました。そのため、該当カードのテキストを訂正いたします。
    という内容でテキスト訂正の理由が説明されたが、多くのプレイヤーがDM24-RP3発売前のカードリスト公開後からこのカードが自身でループする挙動については気付いていた。
    そのため、エラッタ発表時には「多くのプレイヤーが気付くほど分かりやすいループを開発陣が想定出来なかったのか」という批判の声がループの問題点の批判から引き続いて上がった。
    あるいは、ループ自体は開発陣も把握していたが、「無限ループを証明する手段を競技ルール上で説明出来ずにループ省略が出来ない」点が想定外だったということかもしれない。
  • 発売からエラッタまでに要した期間は僅か10日
    無限ループの挙動がプレイヤーのみにならず、後述の通り大会運営やジャッジにも負担を強いる事になったカードデザイン上の欠陥に対して、事態を重く見て早急に対応した結果と言える。
  • このエラッタによって、同サイクル内でこのカードのcipだけ召喚時限定という統一性に欠けるものになった。
  • DM24-RP3発売後から2024年9月30日に行われたエラッタまでの間、ループ挙動が省略困難である事により円滑な大会運営に支障をきたす点が特に問題視されており、公認大会殿堂レギュレーションにおいて殿堂カードプレミアム殿堂に指定されてないこのカードを、大会開催者が独自で使用禁止にする、ジャッジを交えた特殊裁定を適用する、などの対応が各地の店舗大会CSで取られていた。
    これら問題点の数々についてとその詳細は、こちらに記載の過去ログを参照されたい。
    一部のジョークカードなどに対する各大会独自の使用禁止指定はそれなりに行われているものの、通常パック出身のこのカードに対するこれらの対応が全国的に広がるのは前代未聞で、かの《絶望神サガ》《ヨミジ 丁-二式》ですらこのような措置はされなかった。前述の通り、単に「早く出せて強い」だけだったそれらとは異なり、「円滑にゲームをプレイできない」点が問題視された事が大きいといえよう。
  • 上述の通りエラッタによってループ運用は完全に破綻したが、フィニッシャーの確定リクルートなどの無限ループしない運用も巻き添えで破綻したことからエラッタ内容にも疑問の声も上がった。しかし、考えうる他のエラッタ内容にもそれはそれで以下のような問題点が残っており、なるべく簡潔な変更で大会運営への支障を確実に根絶するには《ギャクテンポインター》の連鎖そのものを止める召喚時限定化が最適であったと思われる。
    +  考えうる他のエラッタの例

その他

  • ネット上で話題になってからエラッタ後の数日間まで、「《アクア・ギャクテンポインター》は、デザインに失敗しました。」というミームがよく見受けられた。
    これはMagic:The Gatheringにおいて、《有翼の叡智、ナドゥ/Nadu, Winged Wisdom》というカードが禁止指定された事が発端。
    2024年8月26日付で《ナドゥ》が禁止指定を受けた際、カードデザインの開発責任者が公式記事にて「《有翼の叡智、ナドゥ》は、デザインに失敗しました。」(※原文そのまま)と失敗を潔く認めており、続く2024年9月23日には別のフォーマットでも禁止指定を受ける事となった。
    開発元が同じWizards of the Coast社であり、禁止指定を受けた時期も《アクア・ギャクテンポインター》が話題になった時期と近く、エラッタや禁止指定を受けた原因がカードデザイン上の問題である事も一致していることから、使い勝手の良い文言であったのがミーム化した原因だろう。

サイクル

DM-10友好色cipサイクルのリメイクカードサイクル。すべてS・トリガーかつコスト10。

関連カード

フレーバーテキスト

収録セット

参考


[1] https://x.com/Y_Deadman/status/1834800361858847083
[2] 自分のターン中であれば、効果適用前に《ギャクテンポインター》が出る。そのまま《とこしえ》をすぐ山札に戻せば、影響を受けるタイミングは存在しない。
[3] 「能力はトリガーしない」というテキストの場合、その適用前にすでにバトルゾーンに出ており、トリガーしている《ギャクテンポインター》の能力は阻止できない。ただし《キーナリー》はEXライフで耐えられるため、どちらのターンでも基本的にループは続かない。