《サイバー・N(エヌ)・ワールド》

サイバー・N・ワールド SR 水文明 (6)
クリーチャー:サイバー・コマンド 6000
W・ブレイカー
このクリーチャーが出た時、各プレイヤーは自身の手札と墓地のカードをすべて山札に加えてシャッフルする。その後、それぞれ5枚カードを引く。

DMR-01で登場したサイバー・コマンド

強力な墓地手札リセット能力を持つ。
らしいトリッキーな能力で、手札の枚数と墓地を初期状態に戻してしまう。単純なドローソースとして考えるとお互いに5枚のカードを引いているためアドバンテージ差を広げにくく使いにくい。
しかしこのカードは『相手の手札が減りにくいデッキ』とは非常に相性が良い。
相手のカードの使用を妨げるランデスデッキや、ブレイクによって相手に手札を与えやすいビートダウン系のデッキは、性質上自身の手札が減りやすいこともあって好相性。

また、墓地手札の枚数差を帳消しにできるため、マナ加速バトルゾーンへの展開力に優れたデッキに入れると間接的に多大なアドバンテージを稼いでくれることだろう。

これ1枚で手札補充手札交換墓地回収山札シャッフル墓地利用阻止、ライブラリアウト防止、手札を5枚以上溜めている相手には擬似ハンデスなどさまざまな利用ができ、極めて汎用性が高い。

また、墓地肥やしを多用するデッキライブラリアウトを狙うデッキに対しては強力なメタカードとして作用する。周りで流行っているようなら一考の余地ありか。

ただし、相手にもドローさせることには変わりなく、返しに《ロスト・ソウル》を撃ちこまれて致命傷となることもありうる。総じて、デッキビルディングプレイングが問われるカードである。

環境において

登場早々本体及び周辺パーツの殿堂で弱体化していた【エンペラー・キリコ】を復活させた。手札補充墓地回収、そしてキリコの進化元にできることなど相性抜群だった。

また後に登場した《ボルバルザーク・エクス》とのシナジーも非常に強力であり、その組み合わせは【Nエクス】として実績を残した。

エピソード1環境で活躍したこのカードであったが、2012年8月11日に【Nエクス】の核であった《ボルバルザーク・エクス》が殿堂入り。

2コスト手札からのマナブースト持ちクリーチャーで2→4と繋ぎ、《フェアリー・ギフト》で3ターン目に早出しする動きは登場以降中速ビートダウンを中心によく見られた。3ターン目に3打点が並ぶ上に5枚の手札が手に入ることは当時の中速ビートダウンにとってはとても大きな利益であった。また、遅いデッキが相手であれば与えた手札で反撃される前に倒せるということも十分あった。

これほど大量に墓地回収手札補充山札回復を同時に達成できるカードは少ないため、かつては文明が入り6マナ以上溜まるデッキであれば、ビートダウンコントロールループといったように、ありとあらゆるデッキに採用を検討できる程、カードパワー汎用性に優れたカードであった。

革命編にはたまに見かける【ラララオプティマス】【黒単ヘルボロフ】対策になるドローソースとして使われ、【パクリオループ】型の【イメンループ】【天門ループ】でフィニッシュ機構に使われることはあった。

しかし革命ファイナル環境以降では侵略革命チェンジが勢いを増したため、相手にも手札を与えるこのカードは環境に合致しなくなった。環境の高速化によって採用機会が激減した。

それでも、新章デュエル・マスターズ環境では【青緑コントロール】の確立や【ジャバランガループ】の台頭などによって再びドローソースや墓地対策として少しは再評価された。

他のカード・デッキとの相性

  • 運次第ではあるが、このカードを使う6マナ前後の状態では、相手は残りの手札フィニッシャー等を温存してある状況も多いため、強制的な手札交換によりそれらを山札の中に送り込むことで、の入らないデッキでも疑似的なハンデスができる可能性もある。とはいえお互いに5枚のカードをドローするため、物量的なアドバンテージを取っているわけではないことも忘れてはならない。

メディアでの活躍・コラボなど

  • キッズステーションで放送された情報番組「DASH TV S(サーガ)」では「カードを1枚引くごとにぶっかけそばを1杯食べなければならない」という特別ルールのデュエマでもえあずが使用。能力を活かして《天災超邪 クロスファイア 2nd》G・ゼロで、《ベニジシ・スパイダー》リベンジ・チャンスで出した。さらに相手にも大量のドローをさせることで、対戦相手のツッコミにも5杯ものぶっかけそばを食べさせることとなり、ダイレクトアタックを決める直前にぶっかけそばを食べきれなかったツッコミがギブアップした。
    • ちなみに《サイバー・N・ワールド》を使ったもえあずは大食い競技番組である「元祖!大食い王決定戦」で第5代目女王となるほどの大食いアイドルであり、10杯以上のぶっかけそばを食べても余裕の表情を見せていた。
  • スマートフォンアプリゲーム『パズル&ドラゴンズでは、コラボガチャに登場するクリーチャーとして登場した。
    スキル名は「サイバー・ブレイン」、リーダースキル名は「新世界の幕開け」。

その他

  • デザインの原型はMTG《時の逆転》だろうか。あちらは呪文であり、そちらはゲーム開始時の手札が7枚なので引くカードの枚数も7枚になっている。
  • 関係性は全くないはずだが、ゲームソフト「ポケットモンスター ブラック・ホワイト」の登場人物「N」はポケモンカードゲームにおいて、「おたがいの手札を全て山札にもどし、山札を切る。その後、それぞれがカードを引く」といった、このクリーチャーと類似した効果を持っている。
  • 公式カード検索のDMX-19版のフレーバーテキストはDMD-14版のものが誤って記載されている。

デュエル・マスターズ プレイスでは

特に変更点なくDMPP-16で実装された。

《DNA・スパーク》《スーパー炎獄スクラッパー》と同様、デッキタイプに依存しないグッドスタッフであり、このカードのおかげで多くのデッキの開拓が進んだ。

  • 『五等分の花嫁』コラボのプライズ版では水着姿の中野三玖が描かれており、ボイスも彼女が担当している。イラストでは海中に潜水している様子で、背後では《N・ワールド》がカメラ目線で佇んでいる。

環境において

トップメタ以外のデッキにおいても、《ベニジシ・スパイダー》と組み合わせたコンボや、『GRAND MASTER決定戦 2022』の《若頭 鬼流院 刃》デッキのドローソース墓地利用メタ要員としての役割などが存在している。

本来、先に手札をジャンジャン消費する速攻デッキには腐る性質だったはずだが、DMPP-18期のNew Divisionでは【ヘブンズ・ゲート】など速攻デッキを否定する要素が多く、《サイバー・N・ワールド》の動かしやすい環境が到来した。

そして、同18期NDではTierの高いデッキが相次いでこのカードを採用[2]し、その結果、後攻のメリットである初手の多さを否定することから圧倒的な先攻有利環境が到来した。
また、墓地と手札をリセットする性質から墓地利用ハンデスのアーキタイプの環境における立ち位置が悪化。言い換えれば、それらへの強烈な抑止力として働いているとも言える。
コントロールには自分にとって良い面も悪い面もあるが、《エナジー・ライト》のような使い切りで別の効果がないドローソースは「使っても《N・ワールド》に流されてしまえば終わり」という風潮から採用率は激減している[3]

対戦環境とはややベクトルの違う話だが、お互いに山札回復するため、デッキアウトによるゲームエンドも遠ざかる。
デュエル・マスターズ プレイス公式チャンネルでは、小笠原仁が《サイバー・N・ワールド》の召喚を「あー、ロングゲームメイカーさん」とネタにした。

ただし、明確なタイムリミットカードのなかったオールドタイプ【Nエクス】時代のあるあるネタであり、DMPP-16DMPP-17に存在した【若頭 鬼流院 刃】DMPP-19以降は《「必勝」の頂 カイザー「刃鬼」》といったカードを搭載したデッキの《N・ワールド》ならむしろゲームエンドまでを早める作用のほうが大きい。

DMPP-19になると、《メンデルスゾーン》《お目覚めメイ様》(として召喚)、5枚目以降・9枚目以降として使える《ピクシー・ライフ》といった具合に、非速攻であっても意図的に手札消費を荒くする方法が充実し、ブースト《N・ワールド》のプレイングに対してディスアドバンテージになりづらい立ち回りがしやすくなった。
対戦相手の《N・ワールド》を逆利用できる《父なる大地》も登場している。《父なる大地》は相手のクリーチャーが空でも引きずり出すことができるため、それを悪用すればランデスを兼ねることが可能。

予想に違わず《N・ワールド》の使用率は下がったが、依然として【M・R・C・ロマノフ】対策としては優秀なカードなのは変わらないため、完全に姿を消したというわけではない。

DMPP-20では、新たに【アウトレイジ墓地ソース】が成立し、既存の【青単ジャバジャック】も強化された。まともに戦ってはそれらの相手に《サイバー・N・ワールド》で自分の手札を補充している場合ではないが、逆にS・トリガーシールド追加ダイレクトアタックさせない【トリガーミケランジェロ】が成立した。
唱えて墓地送りになった《超次元ホワイトグリーン・ホール》を引き直せるという役割で《N・ワールド》が重要なパーツとなっていた。

ただし、【トリガーミケランジェロ】はそのコンセプトで一試合の時間が長引くという運営上の問題があり、《超次元ホワイトグリーン・ホール》DP殿堂のきっかけとなった。

しかし、【ミケランジェロ】から得られた知見や、使う暇のある低速デッキの増加などで【カイザー「刃鬼」】に舞い戻ったりと、使用率が回復したといえる。

関連カード

フレーバーテキスト

収録セット

デュエル・マスターズ

デュエル・マスターズ プレイス

参考


[1] だが、実際にはオラクル側も墓地肥やしを多用するため、基本的には相性が悪い。
[2] 【メンチ斬ルゾウ】など【Nエクス】系グッドスタッフ、【ゼニス軸】系、【青黒緑ザビ・ミラ】
[3] 例外的に【ヘブンズ・ゲート】では、初動の選択肢がドローくらいしかないため、手札補充以外の役割がない《コアクアンのおつかい》が複数枚採用されている。