並行世界 (デュエル・マスターズ)

背景ストーリーにおいて、ある世界と流れを異にする別の世界のこと、あるいはそれら複数の世界をまとめた総称。パラレルワールドとも。

設定

並行世界同士は似通った歴史を辿るとされている。エピソード世界とドラゴン・サーガ世界ではともに「始まりのゼニス」が出現しており、ドラゴン・サーガ世界と新章世界はともにドラゴンが滅亡している。

また、歴史の転換点となる主要なクリーチャーについては、それぞれの世界において同じ役割を担う「パラレル存在」が存在する(「別存在」と呼ばれることもある)。たとえば、《「創世」の頂 セーブ・ザ・デイト》《「終焉」の頂 オーエン・ザ・ロード》は、ドラゴン・サーガ世界における《「無情」の極 シャングリラ》のパラレル存在に相当する。

主要な並行世界

以下に王来MAXおよびジョー編の商品展開が終了した時点で判明している、各世界の俗称と特徴を示す。なお公式メディア・公式関係者が用いる各世界に対する呼び方はそこまで一貫しておらず、以下の名称は便宜的なものである。

エピソード世界

「E3世界」と略記されることもある。
基本セットからエピソード3までの背景ストーリーの舞台となる世界。

ストーリーの主な舞台は「超獣惑星」と呼ばれる惑星。大きさは地球の約2倍で、2つの衛星を持ち、1日は38時間。地軸のズレによって災害が多発している、過酷な自然環境の惑星である。

「謎の大爆発」によって世界が崩壊し、そこから様々な出来事を経て数万年間の時が描かれた。

基本セットからエピソード3までは世界線は繋がっているが、物語の舞台となる土地は何度か変わっており、不死鳥編では進化クロスギアの暴走による世界の滅亡を受けて「東方血土」と呼ばれる闇文明の奥地への大移住が行われるが、極神編ではゴッドが東方血土で生まれた新種族とその住処を壊滅させたことにより、アーク・セラフィムの住処に存在していた「スカイライン・ブリッジ」という大橋を渡って生き延びた者が別の土地へと移住した。

エピソード3背景ストーリーで物語は一度完結したものの、O.V.E.R.Evoの起動によるサバイバーの復活、そしてサバイバーとの戦いや「アカシア計画」 の再起動によるメカ・ゴッド・ノヴァOMGとの戦いという後日談が描かれている。

エピソード1背景ストーリーまでは、パンドラ・スペースを介して後述のドラゴン・サーガ世界と繋がっていた。パンドラ・スペースとの接触はエピソード1背景ストーリーが初めてだが、戦国編背景ストーリーの時点でパンドラ・スペースの使者がこちらの世界に来ていたことが明かされている。

  • この世界における「古代の軍勢」と呼ばれる種族としてオリジンが存在する。
  • 「戦歴」という暦が使われている設定があり、「謎の大爆発」を0年として全方位カードファイルなどでは闘魂編の時期まで詳細な年表やタイムラインなども設定されていたが、やがて使われないようになって現在では死に設定と化している。
    • 全方位カードファイルの年表では1つのシリーズの間でも数十年~数百年の規模で時系列が進んでいることが読み取れる。また、「謎の大爆発」以前の時期の暦の設定があるのかは不明。

ドラゴン・サーガ世界

「DS世界」と略記されることもある。
ドラゴン・サーガ革命編革命ファイナル背景ストーリーの舞台となる世界。
ただし、革命編革命ファイナルは「ランド大陸」と呼ばれる土地が舞台となっており、ドラゴン・サーガとは同じ世界線だが舞台となる土地が異なる。

エピソード世界に似ているが、ドラゴンの力(=龍幻郷との繋がり)がより強い世界。
ドラゴンやドラゴンをサポートする種族以外の種族にとっては生存が厳しいらしく、バーサーカーなどは外見をドラゴンに擬態することで生き延びていた。ただし、革命編の舞台となるランド大陸では特にドラゴンと結びつきが無い種族も多数登場している。また、エピソード世界との歴史の違いによってトライストーンなどの種族も生き延びている。

エピソード世界とはパンドラ・スペースを介して繋がっており、2つの世界は似た歴史を辿っていた。しかしパンドラ・スペースの崩壊(→《偽りの名 13/種族選別》)を境に、2つの世界はかけ離れた歴史を辿ることになる。

この世界には禁断と呼ばれる存在がおり、太古の昔より様々な根深い影響を与えている。

最終的に「最終禁断」の襲来、そしてドギラゴンとの死闘の果てに、この世界からは全てのドラゴンが消滅。モルトを始めとした他のクリーチャーもドラゴンの力を失った。
しかしそれから20年後、ありえないはずの「龍解」を起こしたグラッサ&タレットと、それに目をつけたミロクによる新たな物語が始まることが示唆されている。

新章世界

新章デュエル・マスターズから王来MAXまでの背景ストーリーの舞台となる世界。

文明の中心にそびえ立つ、「世界をつなぐ柱」によって各文明が繋がれた階層型の構造となっている。

ドラゴン新章デュエル・マスターズ背景ストーリーの開始時点から遥か昔に「」によって滅ぼされており存在しない。

宇宙の果てには龍頭星雲があり、その向こう側には「鬼の世界」が広がっている。

超天篇背景ストーリーまでは「漫画/アニメ『デュエル・マスターズ』の影響を強く受ける」性質を持っていた。切札 ジョー(ジョーカーズのマスター)によって創造されたジョーカーズの活躍が顕著な例であるが、それ以外にも漫画/アニメで「クリーチャー世界の出来事」として描かれた事件や戦闘は実際に、背景ストーリー上でも全く同じものが発生している。
逆にいえば漫画/アニメ『デュエル・マスターズ』の展開は、背景ストーリーをなぞったものになっていた。

しかし零龍の出現を境に世界の性質(あるいは世界線)が変わり、「(デュエル・マスターズのプレイヤー達が住む)現実世界の影響を強く受ける」ようになっている。特に王来篇背景ストーリーはその性質が色濃く現れたものとなっている。
デュエチューブの表現では世界線が分岐したかのような表現で世界観設定が解説されているが、その場合は「十王篇ではない方向に分岐した世界線」が存在することになるはずなのだが、現時点ではそちらの世界線については触れられていない。

ディスペクターの襲来を経たのち、「鬼の歴史」からジャオウガ率いる鬼レクスターズが出現した事により、「世界をつなぐ柱」が崩壊し鬼の歴史と一つになって押し潰されそうになるが、モモキングジャオウガを取り込んで自らが礎となった新たな「世界をつなぐ柱」を誕生させた事により世界の均衡が保たれた。

  • 超天篇十王篇移行期は、以上のように背景ストーリー上で「《零龍》の出現によって世界が分岐」したタイミングだった。これと同時期に、漫画/アニメ『デュエル・マスターズ』(ジョー編)の進行も大きく転換している。
    それまでは切札 ジョーが各文明を1年ずつかけて冒険しており、そのまま進行して5年目に闇文明ゼーロと決戦するかに思われた。しかし予想に反して彼との決戦は超天篇期(ジョー篇3年目)に完了した。
    • 松本しげのぶ氏が語ったところによると新章デュエル・マスターズ以降のシリーズの売上不振によって漫画版の当初の予定が変更されたとのこと。背景ストーリー上でも未回収のまま放置された設定などが存在しており、世界線が分岐したという設定も路線変更を反映したメタ的な意味が込められたネタやパラレルワールドにすることによって辻褄の合わなくなった設定を無視できるようにしたと考えられる。
  • エピソード世界やドラゴン・サーガ世界とはパラレルワールドの関係のはずなのだが、王来篇背景ストーリーからは十王篇背景ストーリーにおいて上述のように世界線が切り替わった影響なのか、歴代の背景ストーリーの出来事や各世界の設定などがまとめて新章世界の過去にも存在したかのような歴史として語られるようになっている。加えて新章世界の過去の歴史も現時点では不明慮であることから、結果として関係性や設定が非常に複雑なことになっている。

ゴッド・オブ・アビス世界

ゴッド・オブ・アビスの舞台となる世界。
この世界にも5つの文明があるが、そのあり方は大きく異なっている。
また、この世界の光文明は《サファイア・ウィズダム》の、火文明は龍幻郷の影響を強く受けていることが示唆されており、上位存在との関わりが強い世界と思われる。
この世界に「深淵」と呼ばれる穴が突如発生し、アビスロイヤルたちがそこから復活した所から物語が始まっている。

デュエル・マスターズ プレイス世界

デュエル・マスターズ プレイス背景ストーリーの舞台となっている世界。エピソード世界とドラゴン・サーガ世界の関係より上位のパラレル世界である。

世界観はエピソード世界とほぼ同一で、辿った歴史も似ているが、サバイバーの出現時期、ウェーブストライカー五大王の役割など、少なからぬ差異がある。
デュエチューブによるとエピソード世界やドラゴン・サーガ世界の歴史から欠けてしまった要素が多いが、パラレル存在に関するルールの影響で欠けた要素を補うための仙界による世界への干渉が多くなっているらしい。

その他の世界

以下は主軸となる背景ストーリーの舞台にはなっていないが、その存在が確認されている世界。その殆どは少数のカードのフレーバーテキストのみで言及されており、その数も非常に多い。

フレーバーテキスト内で詳細に言及されているものや、デュエチューブで解説されたものは個別に解説する。

龍幻郷

「ドラゴンを愛した者たちの心の中にある」とされる世界。初出はDMBD-05
多くのドラゴンが住む龍の楽園。「龍幻」の称号を手にした唯一の龍である《無双龍幻バルガ・ド・ライバー》によって治められている。
ドラゴン・サーガ世界と強い関わりを持ち、ドラグハートはこの世界から顕現したものとされている他、《龍世界 ドラゴ大王》はこの世界そのものが一つのドラゴンとして顕現したものである。
詳しくは、《龍の世界 龍幻郷》を参照。

革命軍と侵略者が入れ替わった世界

初出はDMEX-12
ランド大陸においては侵略者であったレッドゾーン革命軍であったドギラゴンの立ち位置が入れ替わり、革命軍のレッドゾーン侵略者のドギラゴンが存在する世界。
しかし両者の役割はそれでも変わらず、《レッドギラゾーン》は禁断の使徒として、《レッドギラゴン》は禁断に立ち向かう者として、両者は争う定めにある。

禁断同士の戦う世界

初出はDMEX-18《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》《蒼き覚醒 ドギラゴンX》
この世界では多くの「禁断」が存在し、それぞれが使徒を従えて覇権を争っている。この世界のレッドゾーンは「禁断」、ドギラゴンは「/最終禁断」の使徒となっており、自身の持つ文明も主に合わせてDS世界のそれとは変化している。だがこの世界においても、レッドゾーンとドギラゴンはやはり争う運命にある。
またこの世界には革命編に登場した様々なクリーチャーがそれぞれの「禁断」に仕えており、禁断同士の争いが繰り広げられている。

  • 禁断が覇権を争っている世界観だが革命軍ハムカツ団などは存在しており、《ドギラゴン》の運命を考えると結局この世界においても禁断は最終的に撃退されると思われる。

鬼の王の歴史

存在が発覚したのは十王篇、用語自体の初出はDMEX-18
《鬼ヶ覇王 ジャオウガ》を始めとしたデモニオたちがやってきた、龍頭星雲の向こう側にあるもう一つの新章世界。「鬼の歴史」「鬼の世界」とも。
この世界においてはドラゴンではなく、デモニオがその力を振るっている。ドラゴンの歴史であるこちら側の新章世界は「龍の歴史」とも呼ぶ。
両者は似たような歴史を辿っており、《龍魂珠》パラレル存在である《鬼魂珠》によるディスペクター襲来が発生している。そこではジャオウガが「鬼レクスターズ」として覚醒し、邪鬼王来烈伝に記された王たちのディスペクターを撃破していった。
龍の歴史でモモキング《Volzeos-Balamord》が撃破された時、鬼の歴史でもジャオウガによって《Volzeos-Balamord》が撃破されていた。その衝撃で二つの世界は接続し、そして再度襲来したジャオウガの手によって「龍の歴史」と統合されかける。だがモモキングの手によってその計画は阻止され、新たな「世界をつなぐ柱」によって二つの世界は再び隔たれた。

  • ミスティ・レポートによれば、ジャオウガが鬼の支配を始める以前は「彼らなりに楽しく暮らしていた」と言う。十王篇では4つの王国がジャオウガの支配を受けていたが、デモニオら当人にとってもジャオウガの支配は苛烈なものだったと見える。
  • デュエチューブでは鬼の歴史における《Volzeos-Balamord》の合体素材が五龍神ではなく五大鬼王と呼ばれるクリーチャー群だったことが語られており、推測するに鬼の歴史の太古における支配者かつ五龍神のパラレル存在だと思われる。
  • 《ヨウガン竜鬼の封》では革命軍のマークが確認出来たり、闇の七王のパラレル存在がいるなど、歴代の背景ストーリーと類似した物語や世界観が存在していたことが示唆されている。一方で敵対する「龍の歴史」及び新章世界の世界観が途中から異なる世界観の背景ストーリーが入り乱れた状態になっているという事情もあり、同一の世界線で歴代の背景ストーリーのパラレルに相当する事件が起きていたのかは不明である。

セレス世界

初出はDMR-16極。当初は「オラクルが支配した世界」であることと遊撃師団の存在だけが語られていたもの[1]
それからしばらく経ったDM23-EX3にて、その顛末が語られた。

基本的な要素はエピソード世界のエピソード2エピソード3の時期と同一だが、2つの点によって大きく異なる世界へと変貌している。
1つ目はゼロの力の根源である《「無上」の頂天 シャングリラ・ファンタジア》が、「自らを無にする」という手段で矛盾を解消したため、ゼロの力とそこから生まれたゼニス、それらを信奉するオラクル教団は存在するが、彼らには目的が一切無い点。
2つ目は外部の世界から《クリス=タブラ=ラーサ》が介入し、自らの都合の良いようにオラクルたちを操ったことで、世界はオラクル・セレスによって支配されており、反抗勢力も全て駆逐されている。

それ以外にも相違点として、「《「終」の極 イギー・スペシャルズ》が存在していない」「ヨミが何らかの理由でオラクルトップに立っておらず、イズモ共々存在が不明」、「漂流大陸が存在していないか或いは別の形式になっている影響でエグザイル・クリーチャーが存在していない[2]」、「テスタ・ロッサとその仲間たちの去就も不明」という点が挙げられている。

最終的には別世界からやってきた《アビスベル=覇統=ジャシン帝》によって、《クリス=タブラ=ラーサ》が撃破されたが、水晶の華にされたオラクル・セレスは解放されなかった。
しかし、彼らはいずれ《「俺獅」の頂天 ライオネル》によって救済されるという。

  • 上述のようにエピソード世界に近いパラレルワールドのはずなのだが、遊撃師団に関連するクリーチャーはドラゴン・サーガ世界で独自に発生した種族となっている。メタ的には遊撃師団の名称カテゴリが登場したのがドラゴン・サーガ期であり、セレス世界の設定が後付けという事情があるためだが。

その他

解説されたフレーバーテキスト数が少なく、デュエチューブ等でも触れられた事がない世界。

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また、漫画・アニメ内で描写される「クリーチャー世界」[3]も、フレーバーテキストや全方位カードファイル等で展開されている背景ストーリーと食い違うことが多々あり、それらもある種の並行世界と言える。
ただし、先述の通り新章デュエル・マスターズ超天篇の時期は、漫画・アニメで描かれるクリーチャー世界と背景ストーリーとが設定上一致していることが公式に宣言されている。ただしそれでも細かい差異は存在する。

その他

  • デュエル・マスターズの英語圏版スピンオフ作品、Kaijudoにも背景ストーリーやメディア展開があった。
    特に「Monarch」に属する5体のクリーチャーは、同作中のはるか古代の五文明を統治した存在だったという。この設定は五龍神に酷似しており、デュエチューブでも両者が上述の「パラレル存在」であると取れる発言がなされている[4]

参考


[1] 《師団の先導者 ツラトゥストラ》フレーバーテキストより
[2] 主力を欠いたのもアウトレイジが敗北した要因とのこと。なお、同様に漂流大陸の出身であるサバイバーがどうなっているのは不明
[3] アダムが暮らした、クリーチャーと人間が共存する世界」「超獣世界と人間界双方に干渉するドラゴン龍カツドン等のキャラクター」など
[4] 「『モナーク』とファイブ・オリジン・ドラゴンは実は世界が別なだけで同じような存在なんじゃないかってことでその転生版としてデザインのベースを持ってこられた」と述べられている (https://youtu.be/aXoFg9mouAo?t=732)